Nicotto Town



シッソナデビュー【2】ライム・バルナック

ヨーコ王妃に続き、シッソナ姫もアイドルデビュー!のはずが、デビューしたくないと姫がゴネ始め…

「何しに来たのよ、ブラン・ヨーク!」
「シッソナ姫は、どうしてアイドルデビューしたくないの?」
「それは…アンタには関係ないでしょ!?」
「関係大アリだよ!
ねぇ、シッソナ姫。フツツカ魔法学院の生徒たちがキミのためにデビュー曲を作ったんだけど、
その中からキミにデビュー曲を選んでほしいんだ。もちろん、デビューするかしないかは別としてね」
「…いいわよ。フツツカ魔法学院に案内してちょうだい!」
ブランは、シッソナ姫のその言葉を待っていた。案外素直な娘だな…。

ブランはシッソナ姫をフツツカ魔法学院に連れてきた。
「あれ?アンタ、もしかしてブラン?ブラン・ヨークじゃない!久しぶりね!」
「そういうキミはライム・バルナック!?」
「学院を退学になったアンタが、今は吟遊詩人クラスの先生だって?えらく出世したじゃない!」
「出世というかただ単に学院長に呼び戻されただけだよ」
「トルテ学院長ね、実はアンタのこと結構気にしてたのよ?ちょっと厳しくしすぎたかなって」
「だから、今度はウェルカム王国から女という女を奪おうとした。
僕を学院から追い出した学院長への仕返しも兼ねてね…」
「でも、途中でやめたって聞いたわよ」
「笛の音を聴かせて虜にして無理やり心を奪うようなやり方では本当の愛は得られない…。
可愛い白衣の天使のその言葉を聞いて、僕はやっと目が覚めたのさ…」
「ふぅ~ん…で、その「可愛い白衣の天使」ってだぁれ?」ライムは意地悪っぽくブランをつついた。
「そ、そんなこと…どうだっていいだろ?」バツが悪そうにちょっと赤面するブラン。
「そういえば、ブランを選んだ楽器は、海魔女級魔笛「運命の風のフルート」だったわね。
学院を去る時、自分を選んでくれた武具を返納する規則だけど、アンタがそれを守るワケないわね」
「当たり前だ。それにこのフルート自身が僕についていくと言ったんだ」
「アンタは女だけじゃなくて武具にも惚れられてたのね」
「武装原石にもな。ところで、ライムはどうして学院に?」
「アンタの前任の「ライラ・ナドレ先生」の病状報告とあたしの楽器「南風のフルート」を見せに学院長の所へ。
あ、そうだ。吟遊詩人クラスの子たちがお待ちかねよ。シッソナ姫のデビュー曲のお披露目だって」
それじゃあねとライムは手を振り、学院長室へと向かった。
「ねぇ、ブラン。ライムさんってあなたの恋人?」
「いや、僕より1学年上の上級生で先輩だよ。ライムとはチームメイトでありルームメイトだった」
「ふ~ん…」
「長々と話し込んでしまって申し訳なかったね、シッソナ姫。
それじゃあ、吟遊詩人クラスの教室に行こうか」
ブランは、シッソナ姫を伴い、吟遊詩人クラスの教室の扉を開けた。

ーつづくー




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