悩みはエゴから来ている
- カテゴリ:ペット/動物
- 2023/05/10 15:10:34
老犬くり子の口内にできた腫瘍はメラノーマだった。4月25日に手術をして10センチ以上取ってもらったけれど、2週間で腫瘍は復活した。えぐって取った左上顎の歯茎に大きな膨らみができて、常に出血している。ステージは3か4あたりだそうだ。
体力が落ちているせいか、四六時中寝ている。病院でもらった痛み止めのおかげか、目の痛みはあまりないようで、食欲もまだあり、りんごちゃんの時のように苦痛で悲しい声を上げ続けることはないのが救いだ。
口から垂れた血が痛々しく、寝床に敷いたペットシーツの染みを見るたびにかわいそうになり、気持ちが落ち込む。
口内メラノーマは放っておくとどんどん肥大するので、一度でも手術できたのは良かった。しかし、これからまた、口からはみ出すほど膨らんでくるのだろう。でも、もう体力がないので手術は繰り返しできない。気休めかもしれないが、痛み止めを飲ませて苦痛を和らげるしかない。
愛犬が同じ病気になった人のブログを読んだが、腫瘍が壊死した腐臭もなす術がないらしい。血も臭いも、犬が天国に行くまで付き合い続けなければならない。
悩みというのは、自分がどうしようもないことに直面した時か、自分が問題に対して何も行動しない時に起こる。
気持ちが落ち込んだ時、私は自分の感情を切り離して、どうすればいいのか考える。
くり子に対してできることは、もうあまりない。過ごしやすいよう体をきれいにして、臭いは消臭して、なるべく好物を食べさせ、目が見えないから不安にならないように時々なでている。
それで不安が消えることはないが、病気を治すことは絶対無理なので、そこでジタバタすると余計に自分が苦しむだけだ。動物は体を手術で切り刻まれてまで生きたいとは考えないし、どんなに高額な治療を受けさせても、一度がんになったらカウントダウンは高速で進んでいるのである。
寛解しても、必ず再発する。飼い主のエゴのおかげで「天国に行く時」が少し延びるかもしれないが、避けられないことだ。
愛犬りんごちゃんの時はそうなる現実を認められなくて抵抗したが、お金だけ病院に取られて終わった。その反省もあって、私は足掻くのをやめた。
諦めは、決して悪いことではない。
くり子は日中はほとんど寝ていて、夜1〜2時に起きて夜鳴きをする。それが1カ月以上続いていて、くり子と同じ階下の寝室で寝ている母がしょっちゅう起こされている。目が見えにくくなっているから暗闇が不安なのだろう。
どうか一日も早くその苦しみから解放されますように。ゆるりん坊主こと塩田妙玄さんのブログを読んで、なんとか「見守る境地」に気持ちを落ち着けている。
物理的に救われない時、神様の存在を心に留めることは結構、気持ちが落ち着く効果がある。
最近、遠藤周作氏の著作「イエスの生涯」を読み直して改めて気付いた。
イエスは病人を治す奇跡はできなかったが、彼らの苦しみに寄り添おうとした。その思いが神の存在であり、働きなのだと遠藤氏は書いている。
くり子を見ていると、遠藤氏が訴えたかったことがよくわかる。あなたは1人ではないと伝えること、それが愛なのだ。
そしてくり子は決して、治してくださいとは訴えない。血だらけの口も、半分塞がった左目も、そういうものだと受け止めて今を生きている。
りんごちゃんもくり子も、愛とは何かを私に教えるために家に来たのだろう。
何度も言う。心から、ありがとう。