月下の幻視者-その12
- カテゴリ:日記
- 2009/10/25 09:07:32
ルナティックが好きな人がもし朱雀の「月下の幻視者」を
読まれたら、きっと何故稲垣足穂のことを書かないの
だろうと思われたと思います。
本来なら一番最初に出てこなくてはいけない人なのですが
朱雀はこの企画を考えた時からタルホの紹介は10月25日に
しようと決めていました。
それは今日10月25日が朱雀の最も愛するルナティックを
代表する作家・稲垣足穂の命日だからです。
稲垣足穂は1900年、大阪・船場に生まれました。
幼年期に博物学や天文学に熱中し、12歳の時にアメリカ人
飛行家の水上飛行を見て、飛行家になることを夢見ます。
大学生の頃には友人と「飛行画報」という同人誌を発行し
創作をはじめる一方、ホモセクシャルにも目覚めます。
大学の卒業後、飛行家になるために上京しますが果たせず
作家活動をはじめ、後に男色という共通の趣味をもつ
江戸川乱歩との交友や、石川淳、伊藤整との交友の中で
キラキラ感、宇宙嗜好、少年愛、ヒコーキなど独特の
イメージに富んだ作品を創作しています。
そして1977年の今日、結腸癌で死去しています。
タルホの作品の中でも朱雀が特に好きなのが『一千一秒物語』
これはもう何度読んだか分りません。
『さあ皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えて
あります。どれからなりとおためし下さい』
この一節で始まる月に纏わる話は、タルホが19歳の時に
書いたタルホの最高傑作です。
そしてタルホ自身も「私が折りにふれて綴ってきたのは、
すべてこの『一千一秒物語』の解説に他ならない」と言って
いるとおり、この本はタルホ文学の核となる作品です。
また「人間人形時代」という工作舎から出版されている本が
あるのですが、これがまたとてもユニークな本で、本の真ん中に
丸い穴が空いていてその穴から月を覗くようになっています。
本の真ん中に月が出るという意味らしいです。(笑)
初版が1975年で値段が1975円と言うとてもタルホらしい感覚の
本ですがすぐに絶版になって、再び足穂の没後10年目の
1986年に再版されていて、この時は2010円とこれもまた洒落た
値段になってます。
その後また絶版になって今はどうなんだろうとググってみたら、
再再販されているようです。今は2310円になってました。(笑)
タルホのこの二冊は、本を初めて手にした時から今までずっと
朱雀の大切な宝物の一つです。
そんなタルホに影響されて書いた詩をUP。
増大するエントロピー
寥落たる天空に
所在無さげな片割月
懐から取り出(い)だしたるは
ニッケル鍍金(めっき)の魂
矯(た)めつ眇(すが)めつ拵(こしら)えたり
人の憂瀬に岑岑(しんしん)と漂いて
落魄(らくはく)の身は
紅の文(ふみ)を読み迂(た)む
嫣然と笑むのは誰そや
奸邪は たるら虫となりて
六夢を彷徨う
纏わりつくのは
灰白色(かいはくしょく)のミアシァム
良図は粘土(ねばつち)にあるというのか?
ならば埋もれてみよう
天の配剤にて
やがて立ち昇る煙とともに
浄化せしめるまで
























