Nicotto Town


まったり時間。


【お話】薔薇によせて

薔薇を嫌いという人もいるけれど、無視できる人はいないわ。この花は感情と記憶に呼びかけるの。

もらったステキコーデ♪:22


原種の薔薇は春に咲いて秋には実をつける、小さな花弁の素朴な花でした。

香りに魅かれた人々が手を加え続けて、花は大きくなり、実をつけることがなくなり。春だけに咲いていたのが、四季を通じて咲く花へと変えられていきました。

そうやって変わっていったのに、今度は、花が派手すぎる、嫌みだと言う人が出る。

迫力がありすぎて、怖いと言う人が出る。

変われと願って変えてきたのは、人ではなかったの?

それでも、薔薇は香る。

素朴な花だった時には、冬を乗り切るための栄養を集めた実で人を助け、

実をなくした後は、その香りで、人の心を癒し続ける。

とげは今でも人を刺す。けれど。

薔薇のやさしさと誇り高さは、たとえどれほど人が手を入れようとしても、

人の手には負えないものが、この世にはあるのだと。

その姿で。香りで。語り続けている。


***


原種の薔薇は、実をつけていました。ビタミンCが豊富なので、秋に集めておけば、冬を乗り切る食料のひとつとなりました。

花は小さく、けれど香りは優しく、とげが鋭くはありましたが、多くの人々に愛されました。

今でもローズヒップの名前で、ジャムが作られています。

日本のノイバラや、ハマナスも原種の一つです。

花と香りを愛した人が品種改良を続け、やがてバラは、オールドローズと呼ばれる種類に変化しました。

大きな花と、たくさんの花弁が特徴で、甘い香りがするものでした。そこから薔薇は実をつけることをなくしていきます。

ハイブリッドと呼ばれる四季咲きの薔薇は、もう、実をつけることがありません。

形と花弁の色の多彩さを、優先的に改良されていったからです。

けれども、薔薇の香りは今でも、鬱になった人の心に寄り添います。

落ち込んだ時に薔薇の香りをかぐと、心が浮き立ってゆきます。

トゲは今でもあるけれど。人がどれほど手を入れて変えてしまったとしても、

薔薇は、薔薇として、そこに咲いている。薔薇として在り続けているのです。






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