Nicotto Town


まったり時間。


【お話】胡蝶の夢

僕がこの世界を夢見ているのか、この世界が僕を夢見ているのか。不思議だね。

もらったステキコーデ♪:21



時間旅行をしてみたんだ。

星と月と太陽の位置を確認して、その場を利用して、

過去に消えてしまった国の、夢の跡を見て回った。

お城や図書室、人々の暮らしていた街の中なんかをね。

呪文で構成された建物の群れは、世界が記憶している過去の姿。

確かにそこにあるのに、でも実際には、消えてしまったもの。

不思議な気分に陥ったよ。

僕はこの世界を、呪文で構成して夢見ている。

でもこの世界にとっては、僕の方が夢なんじゃないかってね。

胡蝶の夢って物語があったでしょう。

夢を見ているのはわたしか、それとも夢の中に出てきた蝶が、わたしを夢見ているのか。

そう自問自答した賢者がいたってね。

静かにたたずむ建物の群れを見ながら、

確かに人がいた生活の跡をたどりながら、

僕もそう思ってしまった。この世界を夢見ているのは僕なのか?

それとも、僕の方が……滅びゆくこの世界が、覚えていてほしいと思い描いた夢なのか……ってね。

ああ、大丈夫。

ちゃんと戻って来れたよ。だからそんな、不安そうな顔をしないで。

僕は僕の、いるべき場所を知っているから。

めったなことで、夢に飲み込まれたりはしないさ。美しい夢ではあったけれども。

僕はこちらの世界で君がいれてくれる、美味しいお茶が好きなんだ。それを飲みたくて帰ってきた。

お土産にジンジャークッキーを持ってきたんだ。一緒に食べよう。お茶、いれてくれる?


***

胡蝶の夢。

荘子が見た夢の話で、夢の中で、自分は蝶になって飛んでいた。

目が覚めたあと、自分は蝶の夢を見ていたのか。それとも本当は、蝶の方が本来の自分自身で、ここにいる自分は、蝶が見ているただの夢なのではないか。

そんな疑問を抱いた、という物語です。

魔法に呼ばれて、あるいは溺れて、帰ってこれなくなる物語が一時期、流行ったことがありました。

足で地面を踏みしめて、しっかりと生きる。ただそれだけのことが、疲れた人にはむずかしい。

夢に逃避することが、悪いわけではありません。

逃避して遊んだあと、戻ってくることが大切なのです。

戻ってくるからこそ、夢も美しさを増す。現実で命を輝かせるからこそ、夢の世界が美しいものとなる。

誰かと一緒に、お茶を分かち合う。その大切さを選ぶからこそ、

置いてきた夢のかけらは、豊かな輝きを放つのです。







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2023/10/08 00:39
>マキさん
唯仏是真?

思わず検索しちゃった(⌒∇⌒)
アバター
2023/10/07 19:03
世間虚仮




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