Nicotto Town



朝食会議【1】新たな入隊者

ここは、ウェルカム王国の城下町にあるメンドーサ隊事務所。

今日は朝から メンドーサ隊のメンバーが全員 食堂に集まっている。
これから 朝食を食べながら ミーティングをするのだ。
「起きろォッ!貴様らッ!いつまで寝ぼけてるんだッ!? これより メンドーサ隊の定期ミーティングを始めるッ!」
トリオン隊長が怒鳴る。最近、ロキに出番を取られてばかりなので ご機嫌ナナメだ。

「まずは、新規入隊者共ッ!自己紹介をしろッ!」と、トリオン隊長。
「ショウアン・シオヤだ。
この度 フツツカ魔法学院・料理人クラスを卒業し、メンドーサ隊の台所を預かることになった。
以後、よろしくな…ノエル」
ノエルの方を見て 顔を赤らめるショウアン。
「ヒューヒュー…ショウアンってば 魂胆見え見えですよ~?本当に分かりやすい人ですね…。
私は、コウラン・アンシー。ショウアンと同じくフツツカ魔法学院の料理人クラスを卒業しました」
「ショウアンってば 私たちと一緒に卒業したいって言って ミツコ先生に頼んで 卒業するの延ばしてたアル~!
ワタシは「ミカ・ヨンフー」!フツツカ魔法学院・料理人クラスを卒業したネ!
ショウアンとアンシー、そして、メイリンとは 同室のチームメイトだったネ!」
「メイリン・ヤムヤムよ。フツツカ魔法学院・料理人クラスを卒業したばかりなの。
私たちのチームの専門は 中華料理だけど 洋食も和食も作れるよ。みんな、これからよろしくね!」

「…メンドーサ隊は いつから フツツカ魔法学院の学生のたまり場になったんだ?
この中で フツツカ魔法学院の卒業生は 手を挙げろッ!」
「は~い!」
ショウアンたち新規入隊者を含め 半数以上の人の手が挙がったので、トリオン隊長は 複雑な表情をした。
ティルト、チュニス、セリカ、リコシェ、ビリオン、シャイナ、マリン、ライム、ルルカ、
アキヒロ、シンジロー、アニス、タンゴ、ラシード、バトラー、ショウアン、ミカ、アンシー、メイリン。
「卒業生 19人…。フツツカ魔法学院の教師をしている者は 挙手ッ!ま、オレもだが…。
オレの担当するクラスは、弓使い(アーチャー)クラスと銃士(ガンナー)クラスだ」
「私は、看護兵クラスと冒険者クラスを担当してますぅ~♪」
マリアは シュッと手を挙げて 嬉しそうに説明をした。
「ドリーミンキュアーロッド、だっけ?大きなガラガラみたいな可愛い鈍器。
ロキの屋敷にわざわざ戻ってまで 取り戻したかった あなたの教師専用武器だよね…?」
マリアに瓜二つの「ココア・ダークスター」が マリアに尋ねる。
「はいっ!フツツカ魔法学院の教師には 教師専用の武具を 新たに創ることになってるんですぅ~」
「トルテ学院長が マリアの武具を創成する前に、スカートの中の武器を全部出せと 言われてなかったか?」
トリオン隊長は 教師専用の武具生成に立ち会ったことを思い出していた。
「ああ、そうでしたねぇ~。武装金剛石さんたちが 怯えてるからって言ってましたねぇ~」
「教師専用武具は「武装金剛石」を使って 創るんだね。
僕は 学院を一度 退学してるし、それに 相棒の海魔女級魔笛「運命の風のフルート」が いるからね…」
ブランは 海魔女級魔笛「運命の風のフルート」を優しく撫でる。
「運命の風のフルートさんは 武具選定の時に「ブランさんの相棒になるんだ~」って言って、
ブランさんの胸に飛び込んで来たんですよね。ブランさん、フルートさんに愛されてますぅ~」
「僕は マリアに 愛されたいな…」
ブランは真顔でマリアを見据えながら ぽつりとつぶやく。
「え?」
マリアは 目を大きく見開いた。
「あ、あの!ブランは 何クラスを担当してるの?」
ミカルは ブランに話を振った。
「吟遊詩人クラスだよ。前任の「ライラ・ナドレ先生」の後を引き継ぐ形でね」
「わしも フツツカ魔法学院の教師じゃよ~。
作者さんや、わしが教師だってことを 忘れちゃうなんて…ゲンちゃん、悲しい~!」
あわわ…本当にごめんね、ゲンサイさん。泣かないでよ~。って、あれ?嘘泣き?

「わしとブランは 学院長のトルテに呼び戻されてしまってのぅ…
この歳じゃからって 一度引退しとったんじゃが、またモンククラスに返り咲いたんじゃ。
そういえば、トルテも 昔は フツツカ魔法学院の学院生じゃったのぅ~。
ティルト、お主と同じ「魔法使いクラス」じゃった。
あのトルテが 今やフツツカ魔法学院の学院長とはのぅ~…そりゃあ 年も取るはずじゃ。
学院長になった時、武具創成に使うハンマーを 先代から譲り受ける しきたりでのぅ、
学生時代に使っていた杖は 武具倉庫に 保管されたんじゃよ」
「私のお母さん…トルテ学院長が 学生時代に使ってた杖が 武具倉庫にあったのは そういうことだったのね…」
ティルトは 自身の相棒である大魔導士級錫杖「天衣無縫の杖」をギュッと握りしめた。
「そういや、ティルトの杖は 最初は『学院長の杖』やったなぁ~」と、セリカ。
「うん。お母さんが 学生時代に使ってた「学院長の杖」が 私を選んでくれたの…」
「ナローケイ現象が起こって 世界の境界線が無くなった影響で
異世界からのお客さんが たくさん来るようになっちゃって…。
異世界から人が来ては ティルトが転送魔法で 送り返してさ…」
リコシェは あの頃の忙しさを 懐かしむ。
「転送魔法を使いすぎて 杖にヒビが入った時は 本当に焦っちゃった…!」と、ティルト。
「杖は~、トルテ学院長に~、直してもらったんだよね~」
あの時、チュニスは 学院の中庭で 月齢の杖と一緒に ひなたぼっこしていたので、
進化の儀式に立ち会っていなかった。
「直しただけやないで!その後「学院長の杖」は『ティルトの杖』に進化したんや!」
「異世界15人衆を 元の世界に 送り返す寸前に「ティルトの杖」が壊れかけてさ…
あの時は 本当にヤバかったよね?!」
ティルトが 異世界15人衆を一度に転送する 大掛かりな転送魔法を発動するまでは
リコシェたちは 魔法陣の点となり 陣形を組んでいたため、一歩も動けなかった。
「私の願いに 杖が応えてくれて 大魔導士級錫杖「天衣無縫の杖」に進化したんだよね!
あそこまで私が頑張れたのは みんなのおかげだよ」
ティルトは 異世界15人衆大転送作戦のことを思い出し 少し涙ぐむ。

「話は変わるが…ココア、ミカル。貴様ら なぜ ここにいる?」
トリオン隊長は コーヒーをすすりながら 質問した。
「ロキが 毎日 私に迫ってくるの…。『人間のキミも 悪くない』とか言って…。
前は、満月の夜と新月の夜だけだったのに…」
あの「満月の夜の一件」以降、ミカルは ロキに ますます 気に入られてしまったらしい。
「ミカルは 人間に近い魔族だから 魔力はあっても 瞬間移動とか 魔族の基本的な能力や魔法は 使えないの。
だから、私が ミカルを ここまで 連れてきたってワケ。マリアの様子を 見に行きたかったのも あったし…」
ミカルを 見るに見かねて ココアが 助けてくれた。
「フフッ、やはり ここに居たか…」
どこからともなく 聞き覚えのある男の声がする。
「瞬間移動なんて簡単さ。これから 私が じっくり教えてあげるよ ミカル…」
いつの間にか ミカルは ロキに後ろから抱きしめられ 耳元で甘く囁かれていた。
「ロキ!?/ロキさん!?」
突如、ロキが現れ 驚くマリアたちだった!

ーつづくー




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