【小説】先生を好きになってもいいですか? その⑦
- カテゴリ:自作小説
- 2025/04/16 08:19:34
――――十字塔の前
水原先生が先に来ていた。
私は、小走りで駆け寄って、
「水原先生、今日は私もドックフード持ってきたんです。あげてもいいですか?」
「いいよ。じゃ俺のは、明日やるな。」
と言って、チョコの頭をなでた。
水原先生は、嬉しそうにえさをあげている私を優しく見ていた。
「そうだ!先生、今日も授業脱線してたでしょう?(笑)」
私はおもむろに水原先生に話をふった。
「いや...あれはな、あの戦のことをもっと知ってもらう為には必要なことで...」
あたふたする水原先生がかわいかった。
「でも、受験にはでませんよね(笑)」
〈キャー、三上先生ステキ♡〉
十字塔のとなりにテニスコートがあって、女の子たちに歓声がここまで聞こえてきた。
「相変わらず、三上先生はモテるな。」
水原先生がぼそっと言った。
「かっこいいですからね(くすっ)」
水原先生は私の言葉に、ちょっとムカッときたのか、
「俺だって、テニス位でくるぞ!」
っていって、すねた(笑)
「いやいや、そこじゃないと思いますよ(笑)」
「水原先生から見て三上先生ってどう見えますか?」
私はなんとなく聞いてみた。
「プレイボーイ(笑)」
「水原先生、それって、嫉妬まじってませんか?w」
水原先生は、笑いながら、
「そうだな(笑)」
って答えた。
「井上、なんか三上先生のことで不安でもあるのか?」
心配してくれた水原先生に対して、私は少し考えて、美鈴のことは、内緒にしておくことにした。
「えっと、あんなにモテるから、好きな女子選び放題なのかなって...」
「手あたり次第、寄ってくる女の子に手を出していそうじゃありませんか?」
ところが、水原先生の返事はいがいなものだった。
「三上先生は、女子生徒からも女性の先生からも告白されたり、誘われたりしてるらしいけど、全部、断ってるそうだぞ。」
私はびっくりして、
「え~~~~~~~~~~~~っ!」
って大きな声を出してしまった。
「本当は、いい先生なのかもしれませんね。三上先生って。」
って私が言うと、水原先生はまた、ムカッとした顔で、
「俺の方が、いい先生だぞ!」
「ハイハイ、わかってます(クスッ)」
この日から、放課後のこの時間は、私の大切な時間になった。