前頁からマイナ免許証「やめておけ」と言う理由
- カテゴリ:日記
- 2025/04/18 10:39:40
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注意が必要なのはマイナカードの有効期限だ。マイナカードそのものの有効期限は10年、ICチップ内の電子証明書は5年。それぞれ発行から10回目と5回目の誕生日までに更新しなければならない。マイナカードは’16年から交付が始まっており、今年、カード本体の更新が必要な人は1200万人と見込まれている。
該当する人がマイナカードの更新前にマイナ免許証を取得すると、更新後に警察署などで一体化の手続きをやり直す手間が生じる。現在のシステムでは、マイナカードの有効期限が来て更新すると、マイナカードに記録された免許証情報が消えてしまうからだ。
そのため警察庁は、「マイナカードの更新期限が近い人は、更新してから免許証と一体化する手続きをしてほしい」と呼びかけている。マイナカードの更新時に免許証情報が自動的に引き継がれるシステムは、今年の秋ごろまでに導入される予定だという。
ならば、今秋から一体化の運用を開始すればいいと思うのだが……。
「政府が今年の3月24日にマイナ免許証の運用を開始すると決めたのは、昨年の10月です。推測するに、どうしても令和6年度末までにスタートさせたかったんでしょう。システムが整備される前に運用を始めたのは、役人の都合という気がします」
それよりも榎並氏が問題視しているのは、マイナンバーカードでの個人情報の取り扱いが曖昧になっていくことだ。
「政府はこれまで“マイナンバーカードのICチップには券面情報以外の個人情報は一切記録されない”と説明してきました。しかし、マイナ免許証には個人情報が記
録されます。今回の一体化を機に“大切な個人情報は入っていない”というマイナンバーカードのスタンスが、崩れていくような感じがしています」
総務省とデジタル庁のホームページにも〈ICチップには、税や年金などプライバシー性の高い情報は記録されない〉と書いてある。
「マイナンバーカードにはキーだけを格納し、個人情報は中央のサーバーに置くというのが従来の考え方です。本来ならば、免許証もサーバー管理するのが望ましいと思います。おそらく警察の現場から、免許証をタブレット端末で読み取る現在の方法で運用したいという要請があったんでしょう。
結果的に、マイナンバーカードのICチップ内に免許証情報を入れることになったのであれば、マイナンバーカードでの個人情報の取り扱いに関する政府の考えを今一度、国民にわかりやすく説明して然るべきだと私は考えます」
▼榎並利博(えなみ・としひろ)行政システム総研顧問、蓼科情報主任研究員。1981年、富士通入社。住民基本台帳など自治体向けシステムの開発に従事。1995年以降は富士通総研で電子政府・電子自治体、マイナンバーなどを中心に研究活動を行う。著書に『デジタル手続法で変わる企業実務』(日本法令)『マイナンバーの呪い』(青山ライフ出版)など。
取材・文:斉藤さゆり