【小説】先生を好きになってもいいですか? その⑰
- カテゴリ:自作小説
- 2025/04/26 23:15:32
社会科準備室
「珈琲でも、飲んで落ち着け。」
水原先生は、珈琲を入れてくれた。
「ありがとうございます。」
「で?どうしたんだ?」
「先生は、美鈴が一週間、学校を休んでいるのをご存じですか?」
「いや...」
「コロナだって聞いていたんだすが、LINEしても、なにか隠しているようで、心配だったから、私、美鈴の家に行ってきたんです。」
私は珈琲カップを握りしめて、思い切って話してみた。
「美鈴、妊娠してたんです。」
水原先生は、珈琲をこぼすくらい、驚いていた。
「相手は、三上先生です。」
「それで、さっき、そのことを三上先生に伝えてたんです。」
水原先生は、驚いた表情で私の話を聞いてくれてた。
「でも、三上先生は、美鈴にピルを渡していたって!」
水原先生は、怒った声で、
「高校生に、ピルだと!?」
「美鈴が妊娠してって聞いても、『生徒を妊娠させただなんて、俺の将来はどうなるんだ!』って自分の心配ばかりで!」
「『ちょっとかわいかったし、従順そうだったから、遊んでやっただけだ。』
『それを妊娠なんかしやがって!!』って言うんです!」
水原先生の表情が険しくなった。
「挙句の果てには、父親が誰か言わない美鈴のこと、いい子だって言うし!」
「許せない!!」
「井上、きついことを言うけど、聞けるか?」
水原先生は静かに話し始めた。
「三上先生に罪を与えるためには、中野の妊娠を公にしないといけないんだぞ。」
「そうなると、中野は、好奇心の目にさらされるだぞ。」
「それに、中野は、耐えられるのか?」
私は怒りを覚えた。
「それって、美鈴はやられ損ってことですか!?」
「そうは言ってない。ただ、中野がどうしたいのかが大事なんじゃないか?」
「井上、大丈夫か?」
「辛いかも知れないが、さっき三上先生の言ったことを、中野に就てなければいけないな。」
私は言葉がでなかった。
「俺も一緒に中野のところに行くから、しっかりしろ!」
私は、水原先生と美鈴のところへ行った。