Nicotto Town



4段 生徒会総会が謎に楽しみになった件


「委員長やりたい人~」

そうI先生が言いかけたとき、真っ先に手を挙げたのは――そう、あのK先輩だった。

先月、今年度初めての委員会活動で、役員を決めるときのことだった。私は広報委員会に入ることになった。
私が各委員会に割り当てられた教室に行くと、そこにK先輩がいたのだ。私と偶然同じ委員会になってしまったのだ。
そして、私の大好きなあのK先輩が委員長に立候補したのだ。私は本当に驚いた。リーダーには手を出さないタイプかと思っていたが、案外そうでもなかったことに気づいた。やはり思い込みは良くないと感じた。
その日の部活終わりに、同じパートの同級生であるMちゃんとK先輩と委員会について話していたときに、先輩は、「実は担当のI先生に気に入られたくて委員長になったんだ~」なんて話していた。

これが、先月の先輩の様子である。
そして、今日の生徒会総会のこと。
今回の生徒会総会では、常任委員会の活動報告や活動計画、今年度の予算案が提出される。また、各種専門委員会や部活動の活動内容についての発表がある。
この総会にK先輩は委員長として総会に出席した。

K先輩は、総会の数日前から、委員会の活動計画の作成などでとても忙しそうだった。特に質問・提案への返答については大変ではないのかと、私は心配になった。

そして、総会当日。
「それでは、広報委員会さんお願いします」と議長の声がした。
先輩は、静かに立ち上がり、演台に向かった。

先輩の澄んだ声が響く。
飾らない、本当にいつも通りの声色だった。

どのような質問でも、平然として、動じず、一つ一つ丁寧に答えていた。

かたい雰囲気の中でも、常に堂々とふるまうことのできるK先輩が、私の瞳に映った。

私は、このような素晴らしい先輩のもとにいることができて、改めてうれしいと思った。




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