Nicotto Town



とはずがたり~香~その12


 韓国ブランドの香水が最近は増えてきている気がする。なかでも勢いを感じるというか、私の耳に入ってくるのは、BORNTOSTANDOUTBTSO)だと思っている。

 一時期、ミンキー合同会社が扱っていたけど、半年くらいだったかな?取り扱いがどんどん減って、私も一時期の興味が落ち着いて、気が付いたらビームスと金沢のフェートンでしか扱わなくなっていた。これ、日本上陸時は、韓国、濃い香り、センシティブなテーマで話題だったんだけどね。勿論今でも話題ではあるけど。今はノーズショップにフガッジとコラボの作品もあったな。

 兎に角、市場へのアプローチがアグレッシブなイメージのブランド。オーナーさんがNYの証券か何かで財を築いた若い韓国人なんだけど、ものすごくお金をかけて、何人もの有名な調香師に制作してもらい、どんどん市場に出す。ほんの1~2年であっという間に何種類もの香水がラインナップされた。

 この辺のスピード感は如何に準備していたかってことだと思うけど、準備していただけならどこかで新製品のスピードが落ちるはずなんだけど、見ている感じ未だ失速しないのは驚く。資金をつぎ込んで次々と新作を出し、常に話題になる作戦なんだろうな。

 この辺は、いい加減なものを作られても売れないけど、何年経っても展開が数種類と言うブランド、例えばサノマと比べると、話題性という観点だけでは桁違い。そして香水のネーミングも尖っていて、販売用の画像は香水瓶を汚したり、すごくダーティーなイメージで押してくる。香りは途轍もなく濃くてパンチがあるけど、結構可愛い系や甘い香りも多い。

 ただ、正直、トム・フォードと同じベクトルと言うか、なんかこう香りを嗅ぐと「トム・フォード?」と思ってしまうような感覚がある。香り全体としての癖としては、ラストがややレザー系に感じるものが多く、私は苦手なことが多い。加えて自分がTFを持っているので、すごいなとは思いつつ手が伸びない。ただ、今、トム・フォードは恐ろしく高いので、BTSOは価格面で入り込む余地があると思う。実際BTSOも使うことが無いわけではないし。それはトム・フォードにない香りで個人的に好きな香りだけど、まぁそんなだから、いつ市場から消えたのかも知らなかったわけで。しかし、どうも別の形で日本に乗り込むという噂もあるし、とにかくビジネスと言う面では素晴らしい。

 凄くゆっくりな展開だけどサノマも良いと思っている。サノマはオーナーのこだわりで納得いくまで1人の調香師と話し合って作る。香りはどれも個性はありつつも優しい香り立ちで、日本人、日本の社会で使いやすい。日本人に親しみを持たれやすい香調で香り持ちも良い。日本人が求める30mLボトルの展開が必ずあり、価格も1万円を切ってくる。

 フランスで製造して日本に輸入の形で入ってくるけど、名前の付け方、香りの構成、エピソード、源氏香のマーク、どれをとっても日本。例えば胡蝶は結構スパイシーはあるけど、所謂パンチ力ではない。時折揺らぐような変化をするけど、非常に良い。他に松風と浮舟も好き。他の香りも好ましく、決して薄い香りではないけど、静かにいつまでも香り、きちんと個性があり、ラストノートもそれぞれに色がある。これがいわゆるお土産品と言うか、安いラインになると全部ムスク系の香りになったり変化が乏しい。個人としては、日本の香水ではサトリとサノマが好き。

 ただ、サノマはここまで褒めちぎってなんだけど、とにかく香りの種類が少ない。悪いわけじゃないけど、展開が遅いので、香水市場において購買層の視界にいつも見えているわけでもないで、良い香りにしては、あまり認知されていない気がする。

 サトリはレジェンド級だと思っている。これは本当に日本人の心に合うような香りで、なおかつそこまで法外な価格でもないのがありがたい。甘い香りもあるけど、外国ならここで甘くするところを、甘くせずに日本の香りの良さを引き出しているように、個人的には思っている。香水を初めて買いたいのであれば、使いやすいけどしっかり作られているサトリとサノマを、私は勧めるな。




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