最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/06/13 02:15:04
第三十二章
翌日私が起きる頃、彼は既にベッドに居なかった。まだ眠たい思考に目を擦りながら、近くにあった煙草へと手を伸ばした。…肇さん…起きてるのかな…とまだ起きない思考で考えを巡らせる。…あぁ…煙草が美味しい…と考えに耽りつつある中、トントントンと音が聞こえて来た。…?…包丁の音…?肇さん…料理して…るのかな…?ぼんやりと咥え煙草の儘私はぼーっとしていた。軽快に鳴る包丁の音がとても心地良かった。少しづつ起きて来た思考と身体を起こし、煙草を消した。私は…肇さんに会いに行こう…そう思いながら、リビングへと向かった。リビングへと向かうと、彼はキッチンに立っていて、玉葱を刻んでいる様だった。…「あ!美月さん、おはよう!」と楽し気に料理を進めていく。…「おはよ、肇さん…何作ってくれてるの?」と尋ねると、…「えっとね、昨日作れなかったハヤシライス!」と楽しそうに玉葱を刻んで行く。…「わぁー…嬉しい…ありがとうー」…「あ、そだ美月さん!ご飯も勝手にだけど…炊いちゃったよ?」…「全然大丈夫よーありがとね」と言葉を交わし合う。…なんて心地の良い空間なのだろう…そんな事を考えつつ、テーブルへと座った私はキッチンにある煙草を彼に渡して貰う様にお願いをした。彼は快くテーブル迄運んでくれて…「何か飲む?」と迄気遣ってくれる。私は彼に甘えに甘えて、…「それじゃあ…カフェオレお願いしても良い?」と伝えた。彼は素敵な笑顔で…「心を込めて作らせて頂きます」と爽やかに笑った。そんな彼の腕は昨日私が巻いた包帯で痛々しく見えた。彼はキッチンへと戻り、…「美月さんはホットとアイスどっちが好き?」と聞く彼に、…「私は温い感じが好きかな」と煙草を咥えながら答えた。…「そうなんだね!了解!」とケトルでお湯を沸かし始め、作り始めてくれた。私はまだ少々頭のぼーっとする感覚の中、煙草をふかし…「肇さんって何でも出来るんじゃない?料理まで出来るなんて凄いね」と彼へと伝えた。…「いやいや、そんな事ないよ…ははは」と笑っていた。そんな言葉達を交わしている間にカフェオレができたらしく、…「お口に合うか分からないけど、どうぞ」とカフェオレを差し出してくれた。…「頂きます」と手を合わせ、ほろ苦くも甘くないカフェオレを堪能した。…「すっごい美味しいね!」と私は素直に伝え、…「流石カフェで働いているだけあるね!」と彼をべた褒めした次第である。彼は…「ははは…何か恥ずかしいよ」と笑っていた。そんな彼の表情を眺めつつ煙草を堪能した私だ。
お料理をしてくれる男性は 料理に対する偏見がなさそうでいいな って思います
料理は女性がすべき!の昭和の男性は ・⌒ ヾ(*´ー`) ポイ ですよねえ(笑)
ハヤシライスにカフェオレ そこはもう心地よいカフェ以上ですね
寝たままの姿勢のたばこ 吸いにくいのもありますが
火事になる危険があるから って敬遠する風潮があるのが今は一般的になりつつありますよね
でも 哲学的でいいな と私は思っています
一人静かに煙をくゆらせる その煙を見つめつつ思考をまとめていく
その工程が誰を邪魔するでもない静かな作業のようで
そういうことってとても大切な時間のように感じています
美月さんの香水などもそうなのでしょうか
美月さんも肇さんも 心からの笑顔が増えますように
と願って読ませていただいています
私もカフェオレ飲みたくなってきました