Nicotto Town



染み


窓が少し開いていた。
揺れていたのか、揺らされていたのか、もう定かではない。
遠くの音が、床の上をすべるようにやってきて、何かを撫でて去っていく。

部屋には、何かが残っていた。
それは形を持たず、匂いでもなく、ただそこに“居る”としか言えない何かだった。
息をひそめても、気配は消えない。逆に、静けさの中で輪郭が際立ってくる。

指先が何かを思い出していた。
ざらりとした感触、やわらかい抵抗、沈む温度。
ふと、足元の空気が重くなる。目で見えぬものが、脚の裏からじんわりと這いのぼってくるようだった。

言葉は交わさない。
音にならないまま、奥のほうでゆっくりと崩れていく。
その崩れ方が妙にやさしくて、少しだけ残酷だった。

時間の針は止まったままだった。
いや、動いていたのかもしれない。ただ、それがどうでもよくなる場所があった。
ここでは、過去も未来も、誰の名も、意味を持たない。

ただ、そこに触れた、という事実だけが、しずかに沈んでいく。
すぐには消えない。消そうとしても、どこかに染みて残る。
あたたかいとか、冷たいとか、そんな言葉では測れない湿度が、まだ肌にある。

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2025/06/20 08:00
> りりさん
^_^
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2025/06/20 07:54
文章の書き方がとってもお上手思いながら読んでいましたよ。
私にはこの書き方は出来ないなぁ。。。
周りの状況や気持ちの揺れや、、、
思い浮かべることが出来る感じです。
すごいよ。。。
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2025/06/19 08:27
> りりさん
理解してもらえて嬉しいです。
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2025/06/19 07:39
解きすぎですかね?!( *´艸`)
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2025/06/18 12:54
> りりさん
読み解きますね^^
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2025/06/18 06:53
少し人恋しくなっちゃったかな?
それとも猫ちゃんだったのか・・・
違ってたらごめんねm(__)m



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