最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/06/20 00:45:25
第三十三章
カフェオレと煙草、そして肇さんを堪能した私は、…「美味しかった、ご馳走様」と彼へと告げた。…「美月さんのお口に合って良かった」と相変わらず爽やかに笑う。
…「ありがとう、私洗顔と歯磨きしてくるね」そう伝えると彼は…「はぁい」と返事をしてくれた。マグカップをキッチンへと持って行き、私は洗顔等をしに、洗面台へと向かった。洗顔や歯磨きをしながら考える事は彼の事ばかりだ。私は…そうだ、仕事を在宅で確か出来た筈…そう思い、そうして貰える様に頼んでみよう…そう考えが纏まりつつある中、あっという間に洗顔や歯磨きを終えた。さっぱりとした私は、リビングへ戻ると、ハヤシライスの良い香りが漂っていた。私は…「良い香り」そうぽつりと自然と呟いていた。…「でしょーもう少しで出来るから、美月さん座ってて」そう言われ、一先ず、テーブルへと腰を下ろした。…「ありがとね、肇さん」彼へとそう伝えると…「いえいえ!全然ですよ!」と美しい顔立ちで笑う。…本当に綺麗な人だな…そんな事を思いながら、私は煙草へと手が伸びていた。少し吸い始めた私は、…「あぁ…スキンケアしなくちゃ」と思い出したかの様に…「ちょっとスキンケアしてくるね、肇さん」と伝え…「あ、はぁい」と快く返事を頂いた次第だ。私は寝室へと向かい、ドレッサーへと腰掛けた。…さて、スキンケアでもしよう…そう思いながらも寝室にある煙草と灰皿をドレッサーへと移動し、昨夜ドレッサーにあったカッターを彼の分からない場所であろう所へと仕舞いこんだ。煙草へと火を点け、深く深く煙を吸い込み、細長く息をゆっくりと吐いた。1本吸い終わる頃に、私はスキンケアをし始めた。化粧水、乳液、クリームを塗り、一旦時間を置こうと思い、リビングへと向かった。彼は…「あ、美月さん!おかえり!ハヤシライス出来たよ!」と私へと笑顔で言ってくれる。…「ありがとう、それじゃあ一緒に食べようか」と彼を誘う。…「うん!」…「何か手伝おうか?」と私が尋ねると、彼は…「大丈夫!座ってて」と言ってくれた。…「あぁ…お皿の位置分かる?」と聞くと、…「あぁ…そっか、どれに入れたら良いか分かんないや…はは」と苦笑いにも似た笑顔で答えた。私はキッチンへと向かい、…「えっと…食器はここで、カレー皿はここ」と教えた次第だ。…「ありがとう、美月さん!」とまた爽やかに笑う彼に私迄笑顔が零れ、…「全然だよ」と伝えた。…丁度カレー皿も2枚程有った為、…「これにしようか」と彼と一緒に準備する運びとなった。…「うん!分かったー!」と彼は楽し気に熱々のご飯とハヤシライスを盛り付け始めた。…「美月さんのお口に合うと良いなー」と言いながら、テーブルへと運んでくれた。…「肇さんは何飲むー?」と私は聞き、…「お白湯が良い!」と嬉しそうに答えてくれた。…「分かったー私もお白湯にしようっと」とケトルへと水を入れ、沸かし始めた。…「私のお白湯加減でも大丈夫?」…「うん!大丈夫!ありがとう」と答えてくれた。私は温めの白湯が好きだった為、それを2つ分入れ始めた。…「さぁ、頂こうか」私は彼へと白湯を差し出し、一緒に朝食の時間を始める時間になっていた。