少女は真っ暗な世界で目覚めた
- カテゴリ:自作小説
- 2025/06/24 13:52:18
長い長い夢から覚めたように思ったが、その夢を思い出すことは出来なかった。
朦朧とした記憶の中で少女は絶望していた。
なぜなら、意識はあるのにあたりは闇だったから。
あまりに深い闇なので、自分が視力を失っているのかもしれないと怖ろしくなるほど。
そして、手足を動かし立ち上がろうとした時その足がまるで使い物にならないことにも絶望した。
声にならない悲鳴。これは夢に違いない。もう一度眠って目覚めたら明るい世界に戻れるのではと思った。
そうして何度も何度も覚醒と微睡を繰り返し、少女はその狭間で「ろくに動けない、声も出せない、目も見えないこの世界は牢獄のよう」だと感じた。
牢獄だとしたら、わたしは何の罪を犯したのだろう?
自分がこの世界で目覚める前に何をしたのか…。
何か大切なことを忘れてしまったような気がする。
忘れてはいけないことがたくさんあったように思う。
思い出せない記憶は自分の犯した罪なのだろうか。
突然、激しい息苦しさを感じた。
深い深い水の中に突き落とされたような。
溺れたと思った瞬間、わたしは眩しい光の中にいた。
「元気な女の子です」と誰かの声が聞こえたが
その意味を理解することは出来なかった。
願わくば、この明るい世界こそが牢獄ではありませんように。
《転生モノ》?