Nicotto Town



裏地





何かを深く諦めた

そんな夢から目覚める朝がある

思い出せない気配のようなものが

おぼろげに香って私の心をよぎっていく

眠りの部屋を出る瞬間

夢の衣装は朝の光に溶けて消えるのに

思い出のような影が去り際

ふと立ち止まってこっちを見ていた


手が届きそうで触れられない何か

最も近くまで行きながら失ったものは

深い眠りのなかに

幾度も訪れるものだろう

初恋、片思い、激しい喧嘩・・・

失ったと思ったものの懐かしい記憶が

幸せという裏地を作る


誰に見せることもなく華やかさもないが

生きることの暖かさが

私を包み込む朝だ








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