if
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/06/26 23:00:08
軽い頭痛を感じて目をこらすと
ぼんやりとした視界の中で
ifが寂しい二人連れに見えてくる
頭を垂れて先を歩いていく男と
後から付いていく僅かに背の低い女
女は男の弓形に曲がった背中を見つめてひっそり歩き続ける
針金のように痩せた二人は
長い影を引いてだんだん遠ざかる
時々かすかに伝わってくる音は
彼らがぼそぼそと話す会話
希望や夢とは無縁のようにうつむいた二人は
夢のほころびの中に住みついて
私の頭の中を彷徨い歩く
風が吹いたら
「もし!」という言葉が
幸せの方に向かうよう
願うばかりだ