道
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/06/27 21:40:15
一本の道が向こうからやってくる
私を通り抜けて
彼方へ去るのだろう
そしてまた別の道が
私を貫き続ける
それらがどんなに遠く離れ
うつろにつながれ滅びてかけても
道は十字路の中で静かに重なりあっている
どこまでが十字路であり
どこからが道であるのか
私の卑小な生と
薄暗いこの国の歴史が交錯するときに似て
道よ遠ざかれ
私にとって方角にすぎぬものたちよ
おまえたちの行方も知らずに
私は立ちつくし
いつまでも手を広げたまま
静まりかえっている