最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/07/10 22:05:18
第三十七章
仕事モードへと移った私は、早目早目の仕事を淡々とこなして行った。3日程先の仕事をこなしている時に肇さんから連絡が入っていた。…「美月さん、お疲れ様!さっきね、虹を見かけたんだ!見て!」と写メ迄撮ってくれている彼からの連絡に、ちょっと休憩しよう…と私は携帯へと目を移し、彼からのメッセージに応えるべく少し休憩を取る様にほんの少しばかり仕事から目を離した。兎に角ちょっと集中し過ぎた…と思いコーヒーでも飲もうと席を立った。私には職場や友人などに親しい人はいなかった。…ほぼ笑わないからだろうな…とそういう自覚はあったものの人との距離感というのが私には分からなかった。職場でも仕事以外の話をした覚えはない…どうして肇さんはあんなに安心できるのだろうか…コーヒーを入れながら考えていたが、答えは出ない儘だった。私はデスクに戻り、コーヒーを啜りながら、肇さんからのメッセージへと返事をしていた。「わぁ、凄い綺麗な虹が撮れたね!仕事の息抜きにすっごく嬉しいよ!有難う!」と返事を返した。彼からの連絡は直ぐに届き、「ほんと?僕邪魔になってない?」とメッセージを貰った私は「全く、邪魔じゃないよ」と送り返した。「寧ろ、不安になってない?」と私が送ると「ほんとはね、少し不安だった」と返って来た。時間はそろそろお昼を廻ろうとしている時間になっていた。私は、「不安を感じたら必ず私に連絡してって言ったのに笑」と送ると「だって…一応美月さんお仕事だし…笑」と返事が来た。「きーにしなくて良いの笑」と
私は少し笑っていたかもしれない。「ありがと、美月さん!そろそろお昼かな?僕の作ったお弁当美味しいと良いなー」と笑っているであろう彼が想像できた。「そろそろお昼の時間だから、少し話そうか?私は肇さんの作ってくれたお弁当食べながらだけど、どう?」直ぐに返事は来て「わぁ、嬉しい!お願い出来る?」と…やっぱり不安だったんだな…と「うん、大丈夫よ」と返事をした。「後少しだけ待ってて、残りの仕事ちゃちゃっと終わらせて話をしよう」「うん!」そう答えてくれた彼に感謝しつつ、コーヒーをお供に昼になる迄残り15分、集中することにした。あっという間に15分は過ぎ去り、昼になっていた。…さてと、肇さんのお手製弁当頂こうっと…と私はバッグに色々と詰め込み、先ずは喫煙所へと向かった。…肇さんに連絡しよッと…私は彼へとメッセージを送り始めた。「肇さん?そろそろお手製お弁当の時間だよ、話そうか」と送ると返事は直ぐに来た。「電話掛けても良い?」そう聞く彼に「煙草吸ってるけど、良いかな?」「うん!」と直ぐに着信があった。…「はぁーい」と電話を取ると、「美月さん!お疲れ様!」と元気そうな声で労ってくれた。
「お疲れ様、ありがとね」私は煙草を1本取り出し吸い始めた。「今は煙草?」と聞かれ、「そう」と答えた。「1本吸ったら肇さんお手製のお弁当頂くよ」「嬉しい!」そんな会話をしつつ、煙草を1本吸い終えた私だ。「さてと、煙草も吸ったから、食堂にでも向かうね」「うん!」食堂へと向かいながら肇さんと言葉を交わしつつ、私は「さーてと、お昼ご飯にするね」と伝えると「ワクワクとドキドキが入り混じってるや」と笑っていた。私も少し笑いながら、「頂くね」と伝え、バッグから弁当を取り出した。弁当を開けると、卵焼きやウィンナー野菜迄あるとても美味しそうな彩り豊かな弁当だった。「うわぁ、美味しそう」と私が言うと「良かったー食べて食べて!」と嬉しそうに言う彼に急かされるように食べる事にした。「それじゃあ、頂きます」そう言って箸をつけ始めた次第だ。