Nicotto Town



七夕の夜に






まるで、鎌田行進曲の「階段落ち」のように
酔って踏み外した駅の階段
あまりに、見事にすべり落ちていく様子を見て
世の中にはこういう人もいるのね
と感心、いや、やっぱり呆れたと君は思った
こんな人と二度と会うことはないだろう
そうとも思ったそうだ

雨水が二人の間を天の川のように流れていた

しかし、転げ落ちたところから立ち上がり
照れ笑いする僕を見て、思わず

「大丈夫ですか?」

と声をかけてしまったのだね

僕は彦星、君は織姫になっていた

それから数ヶ月が経って
僕と結婚しない?って言ってみたら
あなたのまわりはおかしなことばかりだけど
でも結婚してあげるわ・・・


このごろ仕事をしながらよく考える
今日、僕は何歩老人に近づいたのかと
自分の足で歩いた分だけ与えられるのが
人生や年齢という年輪なのに
あの夜は足も使わずに
一瞬にして時を飛び越えてしまった

運命的な出会いは偶然のような必然

翌朝目覚めると
信じられない痛みが
津波のように押し寄せてきた
僕はそれらを一つ残らず現実と受け止めて
痛い歩みを歩き出したのだった

天の川の向こう岸にいた君に
一瞬の閃光のうちに出会い
そして、僕らは夫婦になった

えっ?子供の名前?
ずっと前から決めていたよ!
それはね、ヘルメスって言うんだ!

両親の出会いの物語












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