Nicotto Town



月白にて

薄墨の夜を裂き
風ひとすじ、衣を撫でる

静けさに咲くは
蓮か、それとも
己が胸に灯る ひとしずくの慕情か

経の声は 水のように
音もなく流れゆき
ただ、ひとり
灯明のかげに 影を伏せる

世を離れ 肉を捨て
なお なお
美しきものに心惑う

指先に触れし 塵ひとつ
それさえも 愛しき刹那

月白(げっぱく)の空を仰ぎ
わが煩悩に 静かに
花が散る

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