Nicotto Town



小説 2022 ■浮遊する私と離散的な遠方世界

■浮遊する私と離散的な遠方世界


重低音の耳障りなノイズが絶え間なく聴こえている。いや、聴こえているような気がすると表現するほうが正しいのかも知れない。

「赤子の脳は、19番街の・・・。 ・・・刳り貫いた濃褐色の眼球を・・・のシェフに・・・ 」

今日のフリーディスカッションでは、あなたは椅子に座る姿がとても綺麗ですねと、先生からお褒めの言葉を頂いた。

私は小さな頃から能を習っているので、姿勢や所作には少なからず自信がある。

ディスカッションのテーマが「死の恐怖」に移行した時、11歳の少年が「僕は死んだら天国に行きたい」と真剣な表情で訴えた。

いや、そんなことを強く宣言されてもね。。 私は可笑しいやら呆れるやらで、そんな感情が表面に出たりしないよう堪えるのに必死だった。

「・・・嫌がる14歳の・・・少女を・・・ 。・・・ 10歳に・・・性の・・・として・・・ 」

私は今、どのような状態にあるのだろうか。

肉体の感覚は麻痺し、ただ脳だけが半ば覚醒しているかのようだ。意識はぼんやりとして、自分や世界の輪郭を捉えることが難しい。

比較的強い風が吹いているものと思われる。何となく、突然の雨の予感がする。

中空から俯瞰して見える街の景色は、薄くて粗い灰色の霧が懸ったかのように不明瞭である。朧気であり、ディティールどころかアウトラインを掴むことすら容易ならない。

雨が降り出す前に、どこか雨宿りのできる場所を確保したいのだが。

#日記広場:小説/詩

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2025/08/19 07:20
> しずかさん

しずかさん、おはようございます。

謎解きのようなスリリングな考察、ありがとうございます^^

正直に申しますと、「水槽の中の脳」という仮説も、映画「マトリックス」も不勉強で知らなかったのですが、その仮説がどのようなものか、しずかさんの丁寧な解説で理解することができたと思います。

自分の書いた文章から、ここまで深く面白い世界を構築して頂けて嬉しい限りです。本当にありがとうございました!^^
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2025/08/19 06:06
実は主人公自体「水槽の中の脳」となっているのではないでしょうか?
11歳の少年は過去の「主人公が実際に話した言葉」で手術を受ける前の記憶が蘇っている・・・

今の主人公の「フリーディスカッションでは、あなたは椅子に座る姿がとても綺麗ですねと、先生からお褒めの言葉を頂いた。」というのも実は幻想で、作り出された感覚。

本当の意識は「脳だけが半ば覚醒しているかのようだ。意識はぼんやりとして、自分や世界の輪郭を捉えることが難しい。」のだと思います。

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「水槽の中の脳」は哲学者ヒラリー・パトナムによって1981年に提唱され、自分が体験している世界が実は水槽に浮かんだ脳が見ている夢なのではないか、という仮説のことです。
具体的には、以下のような状況を想定しています。
 ある脳が身体から切り離され、水槽の中で生きている。
 その脳には、外部からの刺激として、コンピュータによって様々な情報が入力されている。
 その情報によって、脳はまるで現実世界を体験しているかのような感覚を持つ。

この状況を考えると、私たちが現実世界だと思っているものは、実は脳が作り出した幻想に過ぎないのではないか、という疑問が生じます。

映画マトリックスのような世界感かもしれませんね。








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2025/08/19 05:04
> 涼音さん

涼音さん、おはようございます^^

イマジネーションを掻き立てられる詩的なコメントをありがとうございます。

物語の中の心許なさや世界の不確かさを感じて、雨に濡れるイメージまで抱いてくださったこと、嬉しい限りです。

素敵な感想を頂けて、この小説を投稿して良かったと思います。ありがとうございました!^^
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2025/08/19 01:21
不思議な世界観の切り取り…
遠くまで見渡していながらこの世界の一部でしかないなんて。
それもほんのわずかの時間で、雨が降り出したら
景色はまた一変するのでしょうか。
読み手はただそれを見て、何の手だてもなく、
雨宿りできる場所は僅かで、
私は雨に濡れてしまうでしょう。



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