物価高対策と財政規律 次期政権の課題
- カテゴリ:ニュース
- 2025/09/12 00:55:57
「物価高対策と財政規律の間の最適解」──ポスト石破に求められる最重要課題 (ニューズウィーク日本版)
https://news.infoseek.co.jp/article/newsweek_E569327/?p=1
要約
石破政権は物価高対策不足に加え、財政規律の重要性の訴えも不十分でした。
石破首相辞任後の次期総裁には、物価高に苦しむ国民への「支援」と、将来の財政破綻を避けるための「財政規律」という相反する課題の「最適解」を見つけ、それを国民に説明し支持を得る高いコミュニケーション能力が不可欠とされています。
日本では消費税減税は過去に一度もありませんが、海外の間接税減税の事例では、減税時は企業が価格引き下げに慎重になって価格下落が緩やかである一方、増税時には企業が増税分を速やかに価格転嫁し、価格が急激に上昇する「ロケット・羽根」現象が起きています。そのため、消費者の負担軽減には消費税減税以外の政策も有効ではないかと思ってます。
欧州の消費税減税事例から得られる教訓
欧州では、リーマンショック後やコロナ禍において、イギリス、ドイツ、フランスなどで消費喚起を目的とした付加価値税の減税が実施されました。こうした事例から、いくつかの教訓が見えてきます。
転嫁率の低さ: ドイツの減税では約60〜70%、フランスの飲食業減税では約20〜30%、イギリスでは約50%と、増税時に比べて減税時の転嫁率が低い傾向が見られました。
企業利益への吸収: 企業は減税分を価格に転嫁せず、利益として吸収したり、賃金上昇や投資に充てたりする傾向が見られました。
価格の逆戻りリスク: フィンランドの事例では、減税後に価格がいったん下がったものの、税率が元に戻された際には減税前よりも高い水準に価格が上昇する「価格の逆戻りリスク」が確認されています。
これらの事例は、消費者の負担軽減を考える上で、消費税減税以外の政策も検討する必要があることを示唆しています。
消費税減税に代わる有効な政策
消費税以外で国民の経済的負担を減らす有効な政策としては、主に所得税減税、社会保険料の引き下げ、特定の層を対象とした給付金といった政策が挙げられます。これらの政策は、それぞれ異なるアプローチで国民の手取りを増やし、消費や経済活動を活性化させることを目的としています。
所得税減税: 家計の可処分所得を直接的に増やす効果があります。特に低所得者層や中間層を対象とした減税は、増えた所得が消費に直結しやすいとされています。ただし、物価高対策として実施された定額減税のように、経済効果が薄いという指摘もあります。
社会保 険料の引き下げ: 所得税減税と同様に手取り収入を増やす効果がありますが、社会保障の重要な財源であるため、引き下げると制度の持続可能性に影響を与える可能性があります。
給付金: 特定の層に焦点を絞って現金やクーポンを支給する場合、支援政策の効果を最大化しやすいメリットがあります。迅速に支給できるため、経済の落ち込み時に素早く消費を下支えする効果も期待されます。一方で給付にかかるるコストや給付金の多くが貯蓄に回ってしまう課題や、対象者の特定が難しい問題も指摘されています。
これらの政策は、それぞれ異なる目的や効果を持ち、経済状況や政策目標に応じて適切に選択・組み合わせる必要があります。消費税減税が「ロケット・羽根」現象により効果が薄いと判断される場合、これらの政策が国民の経済的負担を軽減し、景気を下支えする有力な選択肢となります。
参考記事
消費税減税で潤うのは家計ではなく売り手?「価格転嫁率」が示す減税の“落とし穴” (ダイヤモンド・オンライン)
https://diamond.jp/articles/-/368009