Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


最期の夜月

最終章

あれから、24年の月日が経っていた。私はベッドで横になりながら、…「…はーくん?ごめん…気持ち悪い…」と彼へと伝え、…「うん…吐いて良いよ」と桶に胃液を吐き出していた。私の病気が判明したのは半年前だ。要は癌、である。それと共に私は余命宣告を受けていた。最期は家で過ごしたい旨を伝え、病院で先生は…「持って3か月か半年かも知れません」と言っていた。3か月はどうにか乗り切れたが、それからの3か月で私はすっかり瘦せ細り食も細くなり弱っていく一方だった。…いよいよ最期なんだろうなと思った私はずっと傍にいてくれた彼へと一言遺言の様に手紙を書いていた。…「みーちゃん?何か食べたい物ある?」と彼は私へと問う。私は…「ううん…何も要らないよ」と答えた。彼は私の看病の為にリモートワークをしていてくれていた。…「今日」と言う「1日」もどうにか乗り切れた、すっかりと夜も更け、ベッドから見える月がとても美しかった。彼は傍で私を見ていた。…「みーちゃん、僕みーちゃんが大好きだよ」そんな風に毎日の様に伝えてくれる。…「ありがとう、はーくん、私も大好きだよ」と伝え合う様な日常。私は…「はーくん、外見て?とっても月が綺麗なの」…「わぁ、ほんとだね…凄く綺麗」…私はもう此の儘この世から去るのかもしれないと思わせる程、綺麗な月だった。ふと時計を見ると深夜帯の3時半を廻る時刻になっていた。…息がし辛い…本当に最期なのかもと思った私は傍で寄り添いながら眠ってしまった彼の頭を撫で、枕下に置いてあった手紙をそっと彼の手に握らせた。…煙草…吸いたいなぁ…とふと思いながらゆっくりと眠ろう…と思った私は起きることの無い深い眠りへと付いていた。
…「みーちゃん?みーちゃん?」と僕は眠ってしまった事を後悔するかの様に彼女の名前を呼び続け、一向に起きない彼女の名前を嗚咽交じりに呼び続けた。…「…みー…ちゃん…美…月さん…」と手を握り締めようとした時に何か紙を持っている事に気付いた僕は、泣きながらその紙を開いた。そこには歪な字で「しあわせになってね、だいすきだよ」と書かれた彼女からの最期の言葉が書かれていた。それを見た僕は号泣し、…「みーちゃん…僕も大好きだよ」と起きてはこない彼女へと伝えた。…それから12年は経っただろうか…僕は独りで月を見上げていた。…みーちゃんと最期に見た月に似てるな…そんな事を思いながら、煙草を吸っていた。煙草を咥え、月へと手を伸ばし…「みーちゃん…大好きだよ…」と伝え、僕は深く呼吸をした。煙草も吸い終わる頃、…さて寝よう…としっかりとメンタルクリニックで貰った薬を飲み、…僕はいつだってみーちゃんと一緒だよ…そんな風に思いを馳せながら、深い眠りへと付いた。

#日記広場:自作小説

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2025/09/21 19:05
驚愕です
せっかく歩み出した二人なのに・・・
運命のいたずらにしては 重すぎます

題名 回収ですね
あまりの見事さに鳥肌が立ちました

紫月さん プロ以上の作品です
お疲れ様でした
紫月さんもゆっくり休んでくださいね
読ませていただき ありがとうございました(*・ω・)*_ _)ペコリ



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