4社は2023年9月、日弁連にも同趣旨の意見書を提出している。
アコムが4社を代表して取材に応じ、意見書を出した理由について「債務者の問題解決が妨げられるためだ」と説明。「貸し倒れを懸念しているわけではない」としている。
日司連は意見書の提出に先立つ4月23日、債務整理業務に関する指針を改定し、面談の徹底や、有利な結果を保証する広告の禁止などを明記した。担当者は取材に「意見書と同様の問題意識を持っており、重く受け止めている」と語った。
日弁連も意見書を受け、全国の会員に面談義務を周知するなどした。担当者は「不適切な事案には厳正に対処する」としている。
「全国クレサラ・生活再建問題被害者連絡協議会」(大阪市)の新川真一事務局長は「弁護士や司法書士に依頼したからといって、生活再建が簡単に実現することはない。ネットの広告には詐欺まがいのものも多く、うのみにしてはいけない」と指摘する。
大阪府内に住む契約社員の男性(67)は昨年5月、SNSで府内の司法書士事務所の広告を目にした。
借金が400万円以上あり、債務整理を依頼したが、司法書士と対面の面談はなく、数分間のビデオ通話だけだった。任意整理の費用などで、毎月の負担は8万円から10万円に増え、4か月後、返済できなくなった。別の司法書士に相談し、現在、自己破産の手続きを進めている。「立場を悪用し、困っている人を苦しめるのは許せない」と憤っている。
広告の「国が認めた救済措置」が何を指しているかは不明。法務省や金融庁によると、自己破産は破産法で規定されている一方、任意整理に特化した法律や国の制度はない。
多重債務者については過去にも、消費者金融に払いすぎた利息「過払い金」の返還請求を巡り、弁護士や司法書士の対応が問題となってきた。
過払い金の算定は2006年の最高裁判決に基づくため、弁護士らにとっては、簡単な業務で多額の報酬を得られ、「過払いバブル」と言われた。この業務でも、債務者の生活再建を考えることなく、面談せずに手続きを進める弁護士らが少なくなかった。
だが、判決から20年近く経(た)ち、依頼はなくなりつつある。多重債務者の問題に詳しいある弁護士は「過払い金業務で収入を得ていた弁護士が、もう稼げないと考え、債務整理に流れている」と語る。