運命の糸の先
- カテゴリ:日記
- 2025/09/27 20:57:05
第一章
これまで幾人の人と身体を繋げて来ただろう。私は過去に思いを馳せながらベランダで煙草へと火を点けていた。私はずっと「運命の人」を探し続けている。もう「身体を繋げなくても良い運命の人」を。多くの人とのSEXで愛情を感じた事はない。私は恐らく性嫌悪症だ。それと同時に男性恐怖症でもあると思っている。色んな男性に抱かれてきた私だが、「唯の欲の塊」の様な感覚しか記憶にない。そんな中でもたった一人だけ、忘れられない人がいた。その人とはクラブで出会った人なのだが、キスを交わす事もSEXをする事もなく只、お互いの話をし合うだけの関係の人がいた。…「レン…元気にしてるかな…」そんな事をポツリと小さく呟いて、吸っていた煙を吐き出した。月の綺麗な夜に、私は独りレンの事を思い耽っていた。…「今何してるんだろう…また会える日が来るのかな…」深く深く煙草の煙を吸い込み、肺の奥まで煙を行き渡らせてゆっくりと煙を吐き出した。私は月へと手を伸ばし、…「ねぇ、レン…会いたいよ…お月様…もう最後にするからレンに会わせてよ…」小さく小さく呟きながら、手を握り締めていた。その後レンに再会出来る事はこの時の私には全く想像もしていなかった事だ。私とレンが出逢ったのは2年程前の事になる。クラブで出逢った彼はとても楽し気に音楽に乗りながら笑っていた。私は酒を飲んでおり、ボーッと楽し気な人だなぁと見つめていた。当時の私はクラブでの出逢いでキスを交わしたり、SEX迄する様なとても自堕落な生活をしていた。
そんな私の隣へと楽し気にしていた彼が座り、話し掛けてくれた。…「ねぇ、おねーさん、踊らないの?」と彼に聞かれ…「んー…私は良いかな」と答えた。…「折角なら踊ろうよ!俺とどう?」なんて笑いながら言う彼に私もたまには音に乗ってみるか…なんて思い、…「一緒になら踊っても良いかな」と笑い掛けた。…「名前はなんて言うの?」そう尋ねると、…「俺はレン!おねーさんは?」と逆に私の名前まで聞いてくれていた。…「私はアオネ」とすんなりと答えた。此処での出逢いで名前を聞かれたのは初めての事だった。…「アオネさんてゆーんだ、綺麗な名前だね」と彼は楽し気に流れている音楽に身を任せる様にゆらゆらと揺れていた。…「それじゃあ、アオネさん、一緒に踊ろ!」と私に手を伸ばし、私は…「うん」と素直に彼の手を取っていた。彼と一緒に音楽に乗りながらゆらゆらと揺れる時間…酒も入っていた事もあり、頭がぼんやりとする…でも心地が良かった。レンは私の目の前で音を楽しむかの様に踊りながら、たまに私へと笑い掛けて来る。大きな声で…「アオネさん?楽しいっしょ?」と言いながら彼は踊る。…「そうだね」と私も大きな声で彼へと返事をした。その夜、彼と踊り続けた記憶がある。その後どうやって帰って来たのか記憶が曖昧なのだが、翌日の朝目覚めるとレンがいた事だけは覚えている。