海外製作映画に100%関税 改めて表明
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- 2025/10/01 00:02:53
トランプ米大統領「まるで”赤ん坊からキャンディを盗む”ように…」 (日刊スポーツ)
https://news.infoseek.co.jp/article/nikkansports_202509300000199/
トランプ米大統領は、海外で製作された映画に対して100%の関税を課す方針を改めて表明しました。これは米映画産業が他国に搾取されているとの認識に基づくものですが、具体的な制度設計や実施時期は未定のままです。映画に関税を課す法的根拠や対象範囲も不明で、業界内では混乱と批判が広がっています。
トランプ氏の外国映画関税提案と業界への影響
トランプ前大統領が突如、外国映画に対し一律100%の関税を課すという、異例の方針を表明しました。この提案の裏には、自由貿易の原則とはかけ離れた、保護主義的な論理が見え隠れしています。
1. 提案の動機:「盗まれた仕事」を取り戻せ
トランプ氏は、アメリカの映画産業はまるで「赤ん坊からキャンディを盗むように」他国に奪われてきたと主張しました。これは、ハリウッド映画の国際競争力そのものを問題視しているわけではありません。
問題は、多くの国や地域が提供する手厚い税制優遇や補助金によって、映画の撮影や制作機能がアメリカ国外へと流出、すなわち「ハリウッドの空洞化」が進んでいる点にあります。
トランプ氏の狙いは、映画が公開されて得られる莫大な利益(興行収入)ではなく、本来アメリカ国内にもたらされるべき制作段階の雇用と投資を強制的に国内へ回帰させることです。100%関税という「罰則」を課すことで、「関税を払いたくなければ、アメリカ国内で映画を作れ」という強いメッセージをハリウッドの制作会社に突きつけています。
2. 専門家が指摘する「二重の矛盾」と課題
WTO違反の可能性
この関税は、輸入品を自国産品より不利に扱うことを禁じたWTOの「内国民待遇の原則」に、ほぼ確実に違反すると専門家は指摘しています。また、ストリーミング配信が主流の現在、デジタルコンテンツへの関税は「電子送信への関税禁止モラトリアム」に抵触する恐れもあります。
高度人材採用のコスト高騰
トランプ氏は、映画制作に不可欠な外国人高度人材が利用するH-1Bビザの手数料を大幅に引き上げる方針も示しています。これは、関税とは別に、国内制作に必要な外国人材の雇用コストを引き上げることになり、ハリウッドにとっては、国内での制作をさらに困難にする「二重の圧力」となります。
3. 100%関税が課された場合の業界への影響
もしこの100%関税が実行された場合、映画業界全体に以下のような甚大な影響が及ぶと予測されています。
影響を受ける主体と予測される具体的な影響
・消費者(アメリカ国民):映画料金の急騰、または、外国映画の輸入・公開の激減によるコンテンツの選択肢の縮小。特に国際的な芸術映画や他国語映画の鑑賞機会が大幅に失われます。
・ストリーミングサービス:NetflixやAmazon Primeなど、世界中のコンテンツを扱うプラットフォームは、外国映画の権利取得コストが倍増するため、サービスの維持が困難になり、値上げやコンテンツの大幅な削減を迫られます。
・アメリカの制作会社:関税を避けるため国内制作に戻ればコストが増大し、海外で制作を続ければ関税で収益が圧迫されます。結果的に、制作費を抑えるために、全体的な制作本数を減らす可能性があります。
・外国の映画制作者:アメリカ市場への参入が事実上不可能となり、最大の市場を失うことになります。特にアメリカ市場への依存度が高い韓国やヨーロッパなどの映画産業に深刻な打撃を与えます。
トランプ氏の提案は、国際的な映画制作のエコシステムを無視し、「アメリカの雇用最優先」という保護主義的な思想を、文化コンテンツにまで拡大させたものと言えます。この強硬策が実際に発動されれば、世界の映画界全体に混乱とコスト増をもたらすことは必至です。