運命の糸の先
- カテゴリ:自作小説
- 2025/10/31 14:55:40
第九章
…「また連絡するね」そう言っていた彼が連絡をしてこなくなって3週間程が経っていた。…レン…何処に行っちゃったんだろ…私は不安塗れになりながら日々の仕事をこなしていた。その後、レンからの連絡が来る事は無かった。9年の月日があっという間に過ぎ、季節は夏になっていた。私はその間、結婚をしていた。結婚生活は破綻していると言っても良い程、会話らしい会話もなく主人は毎日の様に携帯を見続けている生活だった。私はそんな主人を見るのがとても嫌な気持ちになっていた。…なにがそんなに面白いのだろうか…そんな生活を始めて主人と一緒に居る事も辛くなってきていた頃には既に4年が経っていた。私は主人に離婚の話を持ち掛けてみる事にした。…「あのね、私あなたと離婚したいと思ってるんだけど…」…「…え?何で?」と破綻しかけている私たちの会話が始まった。…「あなたを見ているのが辛いの…」そう伝えると、主人は…「離婚はしない、それなら別々に暮らすってのはどう?」と私へと持ち掛けて来た。…「別々に暮らす…」私は考えに考えを巡らせて、…離婚して貰えないならそれでも良いのかも…と思い、…「分かった、それじゃあ別居みたいな感じでお願いしても良い?」…「…うん、そうしよう」と何故主人が離婚してくれないのか分からない儘、別居の生活を始める事になった私達だ。それからはあっという間に私はアパートを探し始め別居婚は直ぐに始まった。お互いの家を行き来する事も連絡を取り合う事もほぼ無く一人の生活が始まっていた。…一人ってこんなに楽なんだ…と思わざるを得ない生活だった。別居が始まって8年が過ぎようとしていた頃、何とも久しぶりにレンからの連絡が来ていた。「アオネさん、お久しぶりです」よそよそしさが伝わる文面に、私は…緊張でもしてるんだろうか…と思いを馳せ、「レン、久しぶりだね、元気してた?」と返した。「何とかって感じかもしれないです」と意味深な言葉を発していたレンに対し、私の近況を報告してみようと思い、「私も何とかって感じかな…実は結婚してね、今は別居してるの」「そうなの?アオネさん、結婚したんだ」少しづつレンの緊張感の様なものが解けていくかの様に感じた私は、少しホッとした。「まぁ、会う事も連絡を取る事もない結婚してるのかも分からない状態なんだけどね」と笑って私はレンへと伝えた。「あ、俺もそんな状態かも」とレンも笑いながら私へと伝えてくれた。「レンも別居してるの?」「うん」と何年も前の事を思い出すかの様な感覚。「俺、そっちで暮らそうと思っててさ」と私は驚き「え?そうなの?」と返した。「うん、凄いそっちの居心地が良い事思い出して、明後日にはそっちに行く事になったんだ」と言っていた。「お家は決まってるの?」と私が問うと、「一応、家も決まってるよ」と本当にレンがこっちに来るんだとしみじみと感じていた。「そっか」私は何故か心が躍るようだった。レンは「明後日にそっち行くんだけど、アオネさん会える?」と聞かれた私は「うん」ととても嬉しく思いながらもそう答えた。「それじゃあ、明後日に会おうね」と私は仕事終わりの時間を伝え、連絡は一旦終わる事となった。
	
	

 
		



























