日本は「台湾を中国の一部と承認していない」
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- 2025/11/19 22:32:39
新聞ですら間違えた「台湾問題」に対する日本政府の立場。「日本は台湾を中国の一部と認めている」と思い込む人たちの課題 (東洋経済オンライン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e18d3728dfa01207fe7b6511e195fd3348c2703?page=1
要約:日本政府の「台湾問題」への立場と誤解の課題
高市早苗首相の発言
・衆院予算委員会で「台湾有事」が存立危機事態に該当し得ると具体例を示したことで、中国が反発し渡航自粛要請を発表。
・具体例を挙げたことで「曖昧戦略」の柔軟性を損ねたとの懸念もあり、後に首相自身が修正発言。
議論の問題点
・保守・リベラル双方で議論が活発化する一方、イデオロギーに偏った情報拡散や誤解が多い。
・SNSや一部メディア(例:東京新聞社説)が中国の主張をそのまま受け入れ、日本政府の立場を誤読するケースがある。
日本政府の立場の歴史的経緯
・戦後処理(カイロ宣言・ポツダム宣言・サンフランシスコ平和条約)では台湾の最終的地位は明示されず。
・1952年の日華平和条約で中華民国の実効支配を認めたが、帰属先は明言せず。
・1972年の日中共同声明では「中国の唯一の合法政府」を承認したが、「台湾は中国の一部」という中国の主張は「十分理解し、尊重」と表現。これは承認ではなく、距離を置いた外交的表現。
誤解の根源
・「尊重する」を「承認」と誤解し、日本が台湾を中国の一部と認めていると短絡的に結論づける言説が拡散。
・アメリカも「acknowledge(承知している)」と表現し、支持や承認とは異なる距離感を保っている。
筆者の警告と提言
・台湾問題は中国・台湾双方の歴史的背景を踏まえた冷静な理解が必要。
・イデオロギーに沿った誤情報の拡散は台湾の国際的空間を狭め、日本外交の努力を損なう。
・台湾は2300万人が暮らす民主社会であり、議論は「普遍的価値」を踏まえた冷静な知識に基づくべき。
結論
日本政府は「台湾を中国の一部」と承認しているわけではなく、中国の立場を「理解・尊重」するにとどめている。誤った読解やイデオロギー的言説が議論を歪めており、冷静で正確な知識に基づく議論が求められる。
●メディアによる日中共同声明の誤読とその危険性
1. メディアが中国の主張を受け入れてしまう理由
・外交文書のニュアンスの難解さ
日中共同声明には「承認」「尊重」「理解」といった微妙な外交用語が並びます。これらは法的な意味が異なるが、知識が不足したまま記事化すると、「尊重=承認」と誤解し、中国の主張をそのまま事実として扱ってしまう。
・単純化圧力と即時性
報道は読者に分かりやすく伝えることを優先するため、複雑な歴史的経緯や法的文脈を省略しがちです。その結果、「日本は台湾を中国の一部と認めている」という短絡的な表現が使われやすい。
・中国の強いナラティブの影響
中国政府は国際社会に対して「台湾は中国の一部」と繰り返し発信しており、その言説が国際報道の前提として浸透しています。検証を怠ると、そのまま引用してしまう。
・イデオロギー的バイアス
一部のリベラル系メディアなどは「日本の安全保障政策=危険」という立場から批判を優先する傾向がある。その際、中国の主張を事実として扱う方が論理展開に都合が良い。
2. 誤った知識に基づく報道の危険性
・国民的理解の歪み
誤報が広まると、国民が「日本政府は台湾を中国の一部と認めている」と誤解し、政策や外交に対する世論形成が誤った前提で進んでしまう。
・外交的信頼性の低下
国際社会に誤った情報が拡散すると、日本政府の立場が誤解され、外交交渉力が弱まる。台湾問題のような安全保障に直結するテーマでは特に危険。
・台湾の国際的空間の縮小
日本国内から「台湾は中国の一部」という言説が広まることで、台湾の国際的な立場がさらに狭められ、中国の主張を補強する結果になる。
・メディアの信頼性の失墜
誤った論拠で社説や記事を出すと、読者からの信頼を失い、報道機関の存在意義そのものが揺らぐ。
3. 結論
一部メディアなどが日中共同声明を正しく理解せず、中国の主張をそのまま受け入れるのは、外交文書の複雑さと知識不足、報道の単純化圧力、中国の強いナラティブ、そしてイデオロギー的バイアスが重なった結果です。
しかしその誤報は、国民の価値観や世論を誤った方向へ導き、日本の外交的信頼性を損なったり、台湾の国際的空間を狭める危険を孕みます。したがって、メディアにはファクトチェック体制の強化が不可欠であり、国民もまた「報道を鵜呑みにせず、原文や歴史的文脈を確認する姿勢」を持つことが求められます。
●存立危機事態について
「存立危機事態」とは、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、日本国民の生命や、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を指しますが、日本政府の公式見解(閣議決定)として、日本の集団的自衛権の行使は、憲法上必要最小限度の自衛の措置に限定されており、他国の防衛を目的に集団的自衛権は行使できません。
仮に台湾有事が発生したとしても、直接的な台湾の防衛行動は日本の集団的自衛権の対象外です。そのため、日本の自衛隊は主に沖縄県の南西諸島の防衛や避難民への対応、米軍の後方支援、在日米軍基地の防護などを担い、間接的に台湾の安全保障に寄与する形となると思われます。
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