Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


嘘の陰影


第六章

彼の部屋へと入るや否や、沢山の段ボールで埋め尽くされていた。…「あはは、ほんとに段ボールだらけ」と私は笑ってしまった。…「だろ?」と彼も笑っていた。…「高校ん時の俺の部屋覚えてっか?」…「うーん、何となく?」…「何となくでも良いや、あんな感じの部屋にしてーのよ」朧気に覚えていた彼の部屋を思い浮かべながら、…「りょーかい、んじゃ片付けよ」と彼へと伝えた。…「一応荷物は出してっから、覚えてる限りで色々配置してくれ、頼むぜー優美」…「何、佑真はやらないつもり?」とクスクスと笑った。…「そんな訳ねーじゃん、ははは」と彼は笑い続け様に…「コーヒー入れて来るわ」とキッチンへと向かっていた。私は…高校の時の佑真の部屋…と何とか思い出そうとしていた…確か…この辺に棚があって…この辺にローテーブルがあった様な…と当時とは家具は違う物の配置に取り掛かっていた。…「ねぇ、佑真ー確かこの辺こんな感じだったよね?」と聞くとキッチンからコーヒーを入れて持って来てくれていた彼は…「あーそうそう、こんなん、良く覚えてんじゃん」と…「ほい、コーヒー」と私へと渡してくれた。…「ありがと」私は受け取り少しコーヒーを啜った。…「割と佑真の部屋の感じ覚えてるもんだね、ふふ」と私は笑った。…「まぁ、高校ん時はお互いの部屋大分行き来してたからなぁ…」と思いに耽る。…「確かにね」と私迄当時を思い出しつつ…「懐かしいね」と昔を思い出していた。私と佑真の歴史は小学校から始まっていた。家が隣同士と言った事もあって、直ぐに佑真とは仲良くなれた。当時は恥ずかしさもあって、学校では引っ込み思案の私に佑真は…「優美!一緒に帰ろうぜ!」と良く声を掛けてくれた。…そんな昔迄思い出す事になるとは思ってもみなかった。当時彼に恋心を抱いて居た私は…「ほんと…懐かしいなぁ…」と昔の思い出に引っ張られるかの様に思いを馳せた。少しボーッとしてしまった私に彼は…「さて、本格的にやるかぁ」と意気込んで言葉を発していた。…「そだね、やろうか」とふと我に返った私は、出されていた荷物を物色しながらラグを発見し、…そだ、確かローテブルの下にラグがあったなぁ…と昔の彼の部屋を思い出しながら、ローテブルの下にラグを敷いた。黙々と3時間程掛けてなんとか部屋らしくなってきた所で佑真は…「お、なかなか良い感じじゃね?」と時計を設置しながら言っていた。…「一旦、休憩しようぜ」と彼は私へと言ってくれた。…「ふぅー疲れたー」と私が言うと、…「さんきゅーな、優美、後は俺だけで出来そうだから、ゆっくりしてってくれや」と煙草の箱を見せ…「一服すっか」と私を誘う。…「うん」私も煙草を吸うべく1本取り出した。…「換気扇かベランダで吸った方が良い?」と聞くと…「いや?良いぜ、部屋で吸おう」と私へと言ってくれていた。彼は恐らく1つしかない灰皿をキッチンへと取りに行き、ローテーブルへと置いた。これから私は彼の話を聞くつもりで…「佑真、辛いかもしれないけどさ…離婚に迄至った経緯話してよ」と彼へと伝えていた。

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