Nicotto Town



ミッドナイト・ブルーの遺言

 

地下へ続く階段を降りれば
そこは 地上よりも深い 孤独の吹き溜まり。
アルトサックスが 真夜中の静寂を切り裂き
ドラムのブラシが 誰かの後悔を 砂のように散らしている。
カウンターの端で 俺は「オン・ザ・ロック」を頼む。
丸い氷が グラスに触れる音。
それが この不確かな夜に響く 唯一の真実だ。
ピアノの鍵盤が 不協和音を叩き出す。
愛した女の 嘘のような 美しい旋律。
「人生は 即興(インプロヴィゼーション)さ」
背後で 誰かが ハスキーな声で笑った。
青い煙が スポットライトに溶け込み
時間は ビートに合わせて ゆっくりと死んでゆく。
夜明けが すべてを 白々しい日常へ戻す前に
俺は この孤独なスウィングに 身を任せるだけだ。
サヨナラは ブルースの後に言えばいい。
今はただ トランペットの 掠れた高音に
自分という 情けない旋律を 預けていたい。

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