Nicotto Town ニコッとタウン

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煙に巻かれたバラード

安物のバーボンが
喉の奥で焼けるような記憶を呼び覚ます。
彼女の香りは、真夜中の港の霧みたいに
つかみどころがなく、酷く甘かった。
「愛してる」なんて言葉は、
口にした瞬間に嘘になる。
俺たちは、崩れかけた看板の下で
酒とバラの日々を、
ただ煙に巻くだけの共犯者だった。
窓の外は、凍てつくような雨。
街の灯りは、色あせた絵葉書のようだ。
あの時、迷わず引き金を引くべきだったのか。
いや、
俺はただ、彼女の帰りを待つ
静かな男でいたかっただけだ。
夜が明ければ、
また誰もいない事務所で
湿ったタバコに火をつける。
慕情、という名の冷たい銃弾を
胸に隠したまま。

#日記広場:人生




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