レクイエム
- カテゴリ:日記
- 2026/03/14 11:27:48
暗がりに火を灯したのは、マッチ一本の頼りない光だった。
低く這うようなラルゴが、古びた酒場のドアを叩く。
突然、嵐_
追い詰められた男の足音か、あるいは引き金を引く指の迷いか。
沈黙と咆哮が交互に喉を焼く、安いバーボンよりもきつい導入だ
雨はまだ降り続いている。
路地裏に捨てられた記憶のように、重く、静かな旋律。
ティンパニを模した低音が、遠い過去のを思い出させる。
ここでは誰もが、癒えない傷を抱えたまま、
ただ一筋の、届かない光を見つめている。
夜はまだ、明ける気配を見せない_
終わりなき逃走が始まった_
馬を飛ばすようなロンドの拍動が、乾いた舗装路を叩く。
振り返るな、止まれば飲み込まれるだけだ。
情熱はとうに冷え切っているが、指先だけが熱を帯びて鍵盤を走る_
虚無に向かって疾走する、16分音符の弾丸。
最後の一音_
後に残るのは、静寂という名の冷たい煙だけだった_
























