Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



散花の行方

古びたバーの曇ったガラス越し
湿り気を帯びた風が、舗道を急いで通り抜ける。
去る者は追わず、逝く者は語らず。
それがこの街に流れる、無言の作法だ。
公園のベンチに残された、消えかけた残り火。
その微かな光が失われる前に、
ひらりと、薄紅の欠片が路面に落ちる。
桜だ。
美しく散るという言葉さえ、ここでは空虚に響く。
花びらはただ、風の導きに身を任せ、
抗うことなく、アスファルトの冷たさへと沈んでいく。
惜別の言葉は、
安っぽい琥珀色の酒と一緒に飲み込んだ。
散り急ぐ花に、感傷を向ける時間は残されていない。
夜が明ければ、
この街はまた、何事もなかったかのように
色褪せた花びらの残骸を踏みしめ、
静かな孤独を抱えて、動き始めるだろう。
その景色の一部として、ただ立ち尽くすのみだ_

#日記広場:人生




Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.