Nicotto Town ニコッとタウン

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錆びたライターと午前二時の戯言

午前二時。
氷の溶けたウイスキーは、
俺の人生みたいに、とっくに薄まっている。
バーテンダーは何も聞かない。
それがこの店のルール。
鏡に映った男は、
少し笑って、また一つ、くだらない嘘をつく。
「愛? そんなの、街灯の下に落ちてる
 吸殻と同じさ。誰も拾わない」
愛した女は、霧の中に消えた。
俺に残されたのは、
火のつかないライターと、
ポケットの底の、微かな重みだけ。
眠らない街の喧騒が、
ドア越しに、やけに遠く聞こえる。
正義なんて、腹の足しにもなりゃしない。
真実なんて、傷口に塗る塩だ。
誰も俺を救わないし、
俺も誰も救わない。
それでいい。
この薄暗いバーで、
自分だけの影と乾杯する。
さあ、最後の戯言だ。
「人生は、
 苦いだけのコーヒーさ」
ライターの蓋を閉じる音が、
静寂を、わずかに弾いた。

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