名もなき防風林
- カテゴリ:人生
- 2026/04/02 10:56:07
湿った夜風が 誰かの軒先を叩こうとする
俺はただ その風の通り道に背中を預け
煙草の火も点けず 闇の一部になって立っている
俺はただ その風の通り道に背中を預け
煙草の火も点けず 闇の一部になって立っている
「おやすみ」
その一言が 家々の窓から零れ落ちて
温かなシーツの中に 静かに沈んでいく
その安らかな寝息を 一秒でも長く守るために
俺の掌は 冷たい鉄柵を握りしめている
その一言が 家々の窓から零れ落ちて
温かなシーツの中に 静かに沈んでいく
その安らかな寝息を 一秒でも長く守るために
俺の掌は 冷たい鉄柵を握りしめている
助けを呼ぶ声は もう聞こえない
あいつらが笑って 明日を語れるのなら
俺の存在なんて 昨日の新聞の隅のように
誰の目にも留まらなくていい
あいつらが笑って 明日を語れるのなら
俺の存在なんて 昨日の新聞の隅のように
誰の目にも留まらなくていい
「ありがとう」なんて 重すぎる対価だ
ただ 泥だらけの靴底を静かに運び
誰かの歩く道から 鋭い石ころを一つ退ける
それだけで この胸の渇きは少しだけ癒える
ただ 泥だらけの靴底を静かに運び
誰かの歩く道から 鋭い石ころを一つ退ける
それだけで この胸の渇きは少しだけ癒える
夜が明ける頃 俺は影のように消えていく
何も残さず 誰の記憶にも触れず
ただ 世界がいつも通りに回り始めるのを
遠い坂の上から 見送るだけだ_
何も残さず 誰の記憶にも触れず
ただ 世界がいつも通りに回り始めるのを
遠い坂の上から 見送るだけだ_

























