Nicotto Town ニコッとタウン

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硝子越しの餞別

最後に交わした言葉は
ひどく安っぽいウィスキーの味だった
氷が溶けて 琥珀色の嘘が薄まる前に
あんたは席を立ち 重い扉を押し開けた
外は土砂降りの雨だ
街灯に照らされた飛沫が
まるで誰かの安っぽい涙に見える
だが あんたに傘はいらないだろう
濡れることを恐れるような奴なら
最初からこの街を 出ようとはしなかったはずだ
「幸運を」なんて言葉は
口の中で転がして 飲み込んでやった
代わりに 火をつけたばかりの煙草をくゆらす
紫煙の向こう側で
あんたの背中が 夜の闇に溶けていく
傷跡を隠す必要はない
それが戦い抜いた男の 唯一の勲章だ
新しい戦場で また別の傷を刻むがいい
次に会うとき その数で勝負をしようじゃないか
さらばだ、友よ
地獄の底まで追いかけてくる過去を
ちぎっては投げ 笑い飛ばして突き進め
振り返るな
あんたが歩いた後に残るのは
乾いた足跡と 静かな風の音だけでいい_

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