名もなき埠頭
- カテゴリ:日記
- 2026/04/22 12:02:44
霧の向こうから、重く湿った潮の香りが漂ってくる。
辿り着いたのは、地図にも載っていない、静かに錆びついた埠頭だ。
辿り着いたのは、地図にも載っていない、静かに錆びついた埠頭だ。
波音は、都会の喧騒が嘘であったかのように穏やかで、ただ寄せては返すリズムを刻んでいる。ここには、誰かに急かされるような予定も、守らなければならない形式もない。
潮風に吹かれながら、冷えた手足の感覚を確かめる。遠くで点滅する灯台の光だけが、暗闇の中で唯一の目印となっている。
「……静かなものだ」
暗い海に向かって、独り言がこぼれる。周囲には誰もおらず、ただ波の音だけが響いている。黒い水面がすべてを包み込み、夜霧が辺りの景色を穏やかにぼかしていく。
夜明けまでは、まだ十分な時間がある。この静寂は、自分自身と向き合うための貴重なひとときとなる_



























