Nicotto Town ニコッとタウン

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Cry Me a River2

薄明(はくめい)のカーテンを引き、
部屋の明かりをすべて落とす。
徹夜明けの重い体を引きずって、
ソファの深みに身を沈めれば、
ようやく世界から「自分」を取り戻した気がした。
窓の外では、朝の光がすべてを現実に引き戻そうとしているけれど、
この部屋だけは、まだ夜の余韻に守られている。
レコードの針が落とされる。
微かなノイズの向こうから、
ジュリー・ロンドンの吐息のような歌声が。
“Fly me to the moon…”
優しく、けれどどこか寂しげなフレーズが、
尖った神経をゆっくりと解いていく。
今日という日が本格的に始まる前に、
束の間の、完璧な孤独。
まぶたの裏に浮かぶのは、月ではなく、
静まり返った朝の街。
歌が終わる頃、
深い眠りが、この長い一日を優しく塗りつぶしていく。

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