窓のうちの風信子
- カテゴリ:自作小説
- 2026/05/11 11:06:39
あかるい窓を ひらいておけば
五月の風は ひたひたと満ちて
机のうえの ガラスの瓶に
青い火をともす 花があった
五月の風は ひたひたと満ちて
机のうえの ガラスの瓶に
青い火をともす 花があった
それは うたをうたふには
あまりに しづかすぎる色をして
過ぎゆく時間の きらめきのなか
誰かの溜息を 吸ひこんでいる
あまりに しづかすぎる色をして
過ぎゆく時間の きらめきのなか
誰かの溜息を 吸ひこんでいる
忘れたいことが あるわけではなくて
ただ おぼえていることが かなしいのだ
風にゆれる うすむらさきは
とほい空の わすれものみたいに
ただ おぼえていることが かなしいのだ
風にゆれる うすむらさきは
とほい空の わすれものみたいに
いつか 僕がもういなくなつても
この部屋には あかるい陽がさし
見知らない誰かが また窓をあけて
五月の風を ゼリーのやうに味わふだらう
この部屋には あかるい陽がさし
見知らない誰かが また窓をあけて
五月の風を ゼリーのやうに味わふだらう
























