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帰還:夜の深淵


境界線は消え、沈黙すらも闇に飲み込まれた
ここは、言葉が形を成す前に凍りつく場所
「本当の自分」などという小賢しい光彩を
深淵がその巨大な顎(あぎ)で、静かに噛み砕いていく
何も見えない。それでいい。
見えるものはすべて、誰かが作り上げた虚像に過ぎない
この底なしの闇の中で、俺はようやく
自分という荷物を、地面に降ろすことができた
連中が必死に求めた「絆」も「承認」も
ここでは、冷たい宇宙の塵ほどの価値もない
孤独を極めれば、それはもはや孤独ですらなくなる
ただ、闇の一部として、世界と等価になるだけだ
思考は凪(なぎ)となり、輪郭は溶け出す
俺は夜になり、夜は俺になる
卑しい輩が鏡の中で必死に探した「自分」の正体は
結局、この豊穣な無への、入り口に過ぎなかったのだ
深い、深い、安息の底
ここには騙す役者も、騙される観客もいない
ただ、静謐な闇が、すべてを平等に抱きしめている
俺は深淵の瞳を見つめ返し
その暗闇の中に、自分の居場所を見出す
もう、火の粉を払う必要もない
俺自身が、冷たく、巨大な、夜そのものになったのだから

#日記広場:ココロとカラダ




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