Nicotto Town ニコッとタウン

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そんなとこでなんにも生まれない

何も生まれない場所っていうのがあるんだ。

種をまいても、肥料まいても耕しても水をやってもね。

キノシタが喋りだした。いつものことだ。

「バナナも?」
バナナも。

「パイナップルも?」
もちろん。育つわけないじゃないか。よりによってパイナップルが。
じゃがいもだってヨモギだって無理だよ。

「花崗岩は?」
それくらいなら

「とすると、そんなに悪い前提じゃないな。少なくとも差異はあるわけだ」
ポジティブだな

「世の中には無菌室みたいな場所だって必要だよ」
それは何の暗喩?

「なんでもないよ。キノシタさんこそ何の暗喩?育たないってさ。学校教育への皮肉?日本の衰退のメタファー?」
わざわざ例える必要ないじゃないか。ここはこんなに育たないんだ。

「育たないって要は時間の否定だ。きっと光はない。光には速度が要るから。きっと真空だ」
たしかに。ここみたいだ。

「でもね、そういう場所でこれだけのマルチバースの中の一つからだいたい同じくらいの世代の人間に出会うなんて」
君と僕が同じ世代?冗談きついな

「まばたきくらいの差だよ」
もう行く?

「冗談きついな。真空で、ときが止まって、光もない。どこに行く?」
でも会話と脳の電気信号と発話の空気振動があって僕たちは暇をつぶしている。これはたぶん歩いているのと同じだ。

「でも質量もないぜ」
些末なことだ。我らを形成するコードにGを書き加えるだけ。

「君は冷めてるんだな」
想像力が不足してるだけだよ。持ち上げるな

「違うよ。想像力の質が僕ら違うだけだ」
そうだな。僕は君みたいにまったりしないから。

「僕が何を待っているって」
それは古来から誰もわからないテーマだろ。

「さあ最初に戻ろうか。酷使のためだけの労働だ」
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