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青い夜のための十四行詩


それは かつて私たちが語りあつた
ちひさな約束のやうに ひそやかで
私はひとつの涙の雫を
外套のポケットに そつと忍ばせてゐる
風が吹いて 梢のあいだを通りすぎるとき
失はれた日々の うす紅色のパステル画が
追憶のなかで 優しく揺れるけれど
私はもう ふりむくことをやめよう
窓のそとには ただ青い夜がひろがり
星たちは冷たい銀の針をふるはせて
消え去つたものたちの 名前を呼んでゐる
私のポケットのなかで あたたまる雫
それは明日の 名もなき朝露にかへるため
私は静かに この夜のなかを歩みだす

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