Nicotto Town ニコッとタウン

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したり顔の犬

街灯が雨に濡れたアスファルトを鈍く照らす夜、
バーの片隅で、俺は煙草に火をつけた。
紫煙の向こう側、カウンターの端に座る男。
上等なスーツを着込み、人生の「正解」を知ると宣う、
あの、へどが出るほど退屈な「したり顔」の輩だ。
「生き方を変えろ」と、男の視線が饒舌に語る。
「もっと賢く、もっと要領よく、波風を立てずに」
絵に描いたような幸福論。
安全圏から一歩も出ず、傷つくことを恐れる犬の遠吠え。
奴らの言う「まともな人生」とやらは、
俺にとっては、ただの緩やかな自殺に過ぎない。
人生なんてものは、最初から面倒の塊だ。
裏切り、誤算、行き止まりの連続。
割れた硝子の上を、裸足で歩かされるような毎日。
だがな、その痛みこそが、俺が生きている証拠だ。
したり顔の輩よ、お前たちの綺麗な法律で俺を裁くな。
お前たちが計算通りに生き、計算通りに死んでいく間、
俺はドブネズミのように這いつくばり、
それでも自分の足で、この暗闇を歩き続ける。
冷え切ったグラスに残った、最後の一滴を飲み干す。
席を立ち、コートの襟を立てて夜の街へ。
雨はまだ激しく降り続いている。
面倒な人生さ。
だからこそ、これほど愛おしい。

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