雨の指先
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/06/01 03:56:29
青いあじさいの毬(まり)のなかに
いつからか しずかに眠っていたのは
だれが落とした ため息だったろう
窓をたたくのは 銀の、細い、雨の指先
いつからか しずかに眠っていたのは
だれが落とした ため息だったろう
窓をたたくのは 銀の、細い、雨の指先
五月がのこしていった あかるい風のうつわを
にわか雨が ひそやかに満たしてゆく
ぼくの部屋の 古びた机のうえ
ひらかれたままのノートは 白く、にじむばかり
にわか雨が ひそやかに満たしてゆく
ぼくの部屋の 古びた机のうえ
ひらかれたままのノートは 白く、にじむばかり
消えかけた記憶の 淡いパステルのように
薄みどりの梢(こずえ)が ぬれた空に溶けて
どこかで小鳥が 小さく啼(な)いた
薄みどりの梢(こずえ)が ぬれた空に溶けて
どこかで小鳥が 小さく啼(な)いた
失われたものは もう呼び戻せなくて
六月の憂鬱は やさしい歌のふりをして
ぼくの心に そっと傘をひろげる
六月の憂鬱は やさしい歌のふりをして
ぼくの心に そっと傘をひろげる



























