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空気頭の唄

ああ、重い、重い。
世間の皆様の、あの、生真面目な顔。
義務だの、愛国だの、お説教だの。
僕の耳には、それらがすべて、
どろどろに煮詰まった、お汁粉のようにしか聞こえない。
僕は、すっかり、疲れ果ててしまいました。
僕の頭のなかは、空っぽなのです。
からからに乾いた、風船なのです。
ちょっと、お嬢さんが、ため息をついただけで、
ヒュウと、お空へ飛んでいってしまう。
それの、どこが悪いのです。
一回きりの人生なんて、
はじめから、無かったのと同じではありませんか。
トマーシュ、と人は僕を呼びます。
親切で、腕のいいお医者様。
けれど、その実態は、
ただの女好きの、腑抜けの、嘘つき。
テレザ、僕をそんな目で見るな。
君の「愛」という、漬物石のような重さに、
僕の、この、か細い背骨は、
いまにも、ポキリと折れそうなのです。
僕は他の女のところへ行く。
それはね、浮気ではない。
ただの、気晴らしの、ピクニックなのだ。
サビナ、君だけが、僕の味方だ。
すべてを裏切り、すべてを捨てる、
君の、その、いさぎよい軽薄さ。
僕たちは、虚無のダンスを踊る、
二匹の、みすめらしき秋の蚊(か)だ。
戦車が来ても、知ったことか。
正義の味方に捕まって、
僕は、窓拭きおじさんに、格下げされた。
ああ、うれしい。
ガラスをキュッキュと拭いているほうが、
よっぽど、僕の、インチキな本性に合っている。
カレニン、僕の可愛い犬よ。
お前だけが、僕を叱らない。
人間は、だめだ。
重たくて、くどくて、いけねえや。
僕は、このまま、
ふわふわと、綿毛のように、
どぶ川のなかに、落ちていくのでしょう。
どうぞ、皆様、お元気で。
僕のことは、笑って忘れてください。

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