Nicotto Town ニコッとタウン

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夕映えのロンド


私たちは、古いお城の、
ひび割れた大理石の床の上で、
いまも、ステップを踏み続けているのです。
ドレスの裾は、とっくに泥にまみれ、
胸元のエメラルドは、偽物へとすり替わってしまいました。
けれど、私たちの背筋だけは、
決して、曲げるわけにはまいりません。
トマーシュ、あなたというお方は、
私のこの、最後のプライドさえも、
優しく、そして残酷に、
剥ぎ取ってしまわれるのですね。
世間という名の、あさましい狼たちが、
私たちの足元を、ぎらぎらとした目で取り囲んでいます。
「もう、お前の時代は終わったのだ」と、
冷たい風が、耳元でささやき続けます。
ああ、それなら、いっそ、
この華麗な没落を、
私たちは、美しく演じきろうではありませんか。
サビナ、あなたの描く絵のなかには、
私たちの、失われた楽園の光が残っています。
すべてを失い、すべてを裏切り、
最後に残った、その「軽さ」こそが、
私たち貴族の、最後の、そして最高の、
贅沢なのだと信じたいのです。
夕日が、お部屋の隅の、
埃をかぶったチェロを、
赤く、血のように染めていきます。
テレザ、私の愛しい、哀れな天使よ。
私たちは、明日、
あの、深い谷底へと、
木の葉のように、静かに落ちていくのでしょう。
それでも、私たちは、
微笑みを絶やさずに、
お互いの手を、強く、握りしめたまま。
さようなら。
私たちの、美しかった、
最後の夕映えの、夜会よ

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