夕映えのロンド
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/06/12 17:37:40
私たちは、古いお城の、
ひび割れた大理石の床の上で、
いまも、ステップを踏み続けているのです。
ドレスの裾は、とっくに泥にまみれ、
胸元のエメラルドは、偽物へとすり替わってしまいました。
ひび割れた大理石の床の上で、
いまも、ステップを踏み続けているのです。
ドレスの裾は、とっくに泥にまみれ、
胸元のエメラルドは、偽物へとすり替わってしまいました。
けれど、私たちの背筋だけは、
決して、曲げるわけにはまいりません。
決して、曲げるわけにはまいりません。
トマーシュ、あなたというお方は、
私のこの、最後のプライドさえも、
優しく、そして残酷に、
剥ぎ取ってしまわれるのですね。
私のこの、最後のプライドさえも、
優しく、そして残酷に、
剥ぎ取ってしまわれるのですね。
世間という名の、あさましい狼たちが、
私たちの足元を、ぎらぎらとした目で取り囲んでいます。
「もう、お前の時代は終わったのだ」と、
冷たい風が、耳元でささやき続けます。
私たちの足元を、ぎらぎらとした目で取り囲んでいます。
「もう、お前の時代は終わったのだ」と、
冷たい風が、耳元でささやき続けます。
ああ、それなら、いっそ、
この華麗な没落を、
私たちは、美しく演じきろうではありませんか。
この華麗な没落を、
私たちは、美しく演じきろうではありませんか。
サビナ、あなたの描く絵のなかには、
私たちの、失われた楽園の光が残っています。
すべてを失い、すべてを裏切り、
最後に残った、その「軽さ」こそが、
私たち貴族の、最後の、そして最高の、
贅沢なのだと信じたいのです。
私たちの、失われた楽園の光が残っています。
すべてを失い、すべてを裏切り、
最後に残った、その「軽さ」こそが、
私たち貴族の、最後の、そして最高の、
贅沢なのだと信じたいのです。
夕日が、お部屋の隅の、
埃をかぶったチェロを、
赤く、血のように染めていきます。
埃をかぶったチェロを、
赤く、血のように染めていきます。
テレザ、私の愛しい、哀れな天使よ。
私たちは、明日、
あの、深い谷底へと、
木の葉のように、静かに落ちていくのでしょう。
私たちは、明日、
あの、深い谷底へと、
木の葉のように、静かに落ちていくのでしょう。
それでも、私たちは、
微笑みを絶やさずに、
お互いの手を、強く、握りしめたまま。
微笑みを絶やさずに、
お互いの手を、強く、握りしめたまま。
さようなら。
私たちの、美しかった、
最後の夕映えの、夜会よ
私たちの、美しかった、
最後の夕映えの、夜会よ




























