青い空を、風にむすばれ
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/06/27 17:53:39
I
その日も 森の教会は静かに息づいてゐた
母と小さな妹は 木漏れ日のなか
あしたの幸福を ただ無邪気に信じてゐた
けれど まばゆい光がすべてを白く染めたとき
母と小さな妹は 木漏れ日のなか
あしたの幸福を ただ無邪気に信じてゐた
けれど まばゆい光がすべてを白く染めたとき
風は一瞬にして 牙をむく獣となり
幼い二人のからだを 天空へとささらひ去つた
ちぎれた青い葉と 教会の瓦礫のなかに
生と死のあわひを 二人はただ吹き流されて
幼い二人のからだを 天空へとささらひ去つた
ちぎれた青い葉と 教会の瓦礫のなかに
生と死のあわひを 二人はただ吹き流されて
おほ、神さま なぜこれほどに冷酷な風が
あんなに優しかつた森の窓を 打ち砕いたのでせう
すべてが灰のなかに 沈んでゆくそのとき
あんなに優しかつた森の窓を 打ち砕いたのでせう
すべてが灰のなかに 沈んでゆくそのとき
だれが二人の小さな手を 繋ぎとめてゐたのだらう
奇跡のやうに 二人はこの地上へ舞ひ戻り
失はれた教会の跡で ただ息をしてゐた
奇跡のやうに 二人はこの地上へ舞ひ戻り
失はれた教会の跡で ただ息をしてゐた
II
それから長い年月が流れても 母は語つてくれた
あの恐ろしい風のなかにあつても
たしかに私たちは 生かされてゐたのだと
森の教会は消えても 祈りは消えなかつたのだと
あの恐ろしい風のなかにあつても
たしかに私たちは 生かされてゐたのだと
森の教会は消えても 祈りは消えなかつたのだと
いま かつての空き地には静かな光が満ちて
目に見えない心の聖堂を ここに形づくつてゐる
母から子へ そしてまたあしたへと
手渡される言葉のなかに あの森は生きつづける
目に見えない心の聖堂を ここに形づくつてゐる
母から子へ そしてまたあしたへと
手渡される言葉のなかに あの森は生きつづける




























