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ノートルダムの白夜――霧と石の独白3


個影(かげ)を伴い、霧の中へ
私は錆びついた身体を動かし、ゆっくりと歩き始めた。
足元には、朝の光が残酷に描き出した私の影——いや、これはただの光の悪戯ではない。私の過去、私の罪、私が切り捨ててきたすべての残骸が凝固した、もう一つの肉体。「個影(おまえ)」だ。お前は私を嘲笑うこともなく、ただ私の足裏にへばりつき、どこまでも執拗に従いてくる。
私たちは二人で一つ、いや、一人と一匹の呪われた旅人だ。
目指す場所など、この世界のどこにもない。私はノートルダムの冷たい壁に背を向け、セーヌに架かる古びた橋へと向かった。川面からは、再び生き物のように湿った朝霧が這い上がり、せっかく始まった夜明けを白く塗り潰そうとしている。世界が再び、その境界線を失っていく。
「おい、行くぞ」
私は誰に言うでもなく、足元の影に低く声をかけた。
歩を進めるたび、私の輪郭は濃くなる霧のなかに溶けていく。背後で鳴り響く街の喧騒も、私を裁こうとしたノートルダムの尖塔も、すべては白い深淵の彼方へと遠ざかる。
救いも、破滅も、もうどうでもいい。
私は私の罪を愛し、お前は私の孤独を喰らう。
私たちは、ただ霧のなかへ還るのだ。
朝日の届かない、あの最も深い白のなかへ。
外套の裾を霧に濡らしながら、私は一歩、また一歩と、自らの影とともにその境界の向こう側へと、静かに姿を消した。

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