海に沈んだオルゴール
- カテゴリ:自作小説
- 2026/07/04 14:31:30
随分昔に遊んだ海辺にふと立ち寄ってみた。
シーズンオフではあるけれど、カフェもお土産屋さんも扉はさび付いて人の気配がない。
秋の気配の海は足をひたすと、ひんやりして気持ちいい。
でも、濡れた砂浜を歩くのは思いの外疲れる・・・。「!!」そう思った瞬間、視界が揺れてわたしは両手をついて転んでしまった。
困った・・・。街から離れる気はなかったから杖は持ってきていない。
独りで立ち上がれるだろうか、この不安定な砂の上で。
そう思いため息をつくと、何か黒いものが駆け寄ってくる。
ギャウン!ワフッ! 大きな毛むくじゃらの犬だ。
そして、大きな瞳の黒髪の少年が犬に引っ張られるように走ってくる。
「大丈夫ですか?」
差し出してくれた手は、日に焼けて力強い。
お礼を言って腕につかまりながら立ち上がると、少年はくったくのない笑顔を見せた。
その瞬間、思い出した。少女の頃によく遊んだ少年と同じ瞳をしている。
「一人で歩いてきたんですか?」
「・・・バスがあるから」
「ええ!?一時間に一本しかないのに」
「一時間に一本あるから大丈夫よ。もうすぐ帰りのバス時間だわ」
「バス停まで送りますよ」「こいつの散歩コースだし」
人懐こい犬が尻尾を振っている。
少年はバス亭まで犬といっしょに、少し走ってはこちらを振り返り待っていてくれる。
「ありがとう・・・。ねえ、あなたはひょっとして・・・」
「え?」
「・・・いえ、なんでもないわ。ありがとう、送ってくれて」
ああ、彼はきっと少女の頃に出会った少年のお孫さんなのだろう。
声も笑顔もそっくりだもの。
わたしは、ずっと独りで長い人生歩いてきたけれど。
そして、それを後悔したことはないけれど。
ねえ、あなたはどうしてわたしのオルゴールを海に捨ててしまったのかしら。
綺麗なお人形が一人でくるくる回って音楽を奏でるオルゴールよ。
大好きで、いつも家で眺めていた。
誘われて海にいっしょに遊びに行った時、わたしがやっぱりオルゴールばかり眺めているからあなたは怒ったのね。
海に落ちたオルゴールは波に沈むその時まで綺麗な音楽を奏でていた。
本当はね、日に焼けたあなたの笑顔があんまり眩しくて・・・
だから、オルゴールばかり見ていたの。
あなたはきっと、すぐに忘れてしまったでしょうね。
でも、わたしは海を見るたびに思い出すのよ。


























「忘れてないよ あとのきはごめんね」
彼女は確かにそのつぶやきを聞いたように思ったが、夢だったのかもしれない。
翌日、浜辺で老女が倒れていて息を引き取っているのを犬の散歩中の老人が見つけた。
その女性がかつての自分の初恋の人だったことなど彼には知る由もなかった。
( ´艸`)
うん、思い出がいっぱいなんだけど。綺麗な思い出はあまりに遠すぎて自分の作り出した妄想じゃないかと勘繰ることもある・・・。
のんびり生きたいね~^^
きゅんとしてもらえて嬉しい!!
って一文を最後に添えると甘酸っぱい青春物語が一気にホラーに?(≧▽≦)
でも 年とってからも ああっという間!!!!
ご飯のことだけでも会話してるなら、ノープロブレムだと思うわv
読んでくれて、ありがとう~♪
あはは。ありがとう。
ばーさんが主人公も悪くないよね( ´艸`)。
なんか、傷つけられた時、怒るパターンと悲しむパターン、あるよねぇ。
傷つけた側はどうだろう。
・・・と二日前にちょっとしたトラブルで現在無言の夫婦関係、なう(・ω・)ご飯のことしか会話してないわ。
いいね、遠い昔の甘い胸の痛みだね。
砂浜が目に浮かぶようだよ。